宇宙の星よ永遠に~金田伊功を送る会~
もう帰ることない 宇宙の星よ
さらば さらば もう会えはしない
無敵超人ザンボット3のエンディングテーマ「宇宙の星よ永遠に」のピアノ演奏(奏者はアニメーターの方)から、「金田伊功を送る会」が始まった。
懐かしい名作アニメの数々にそれぞれの思いを熱くし、貴重な映像に驚いたり笑ったり。
改めて、日本のアニメーションを支えた偉大なるアニメーターを偲び、その再発見をするよい会であった。
☆
出色は、氷川竜介氏の生・アニメ夜話。金田氏を発掘し、世に知らしめたともいえ(その昔の記事で、私もアニメーターに興味を持ちましたよ~)、「20年目のザンボット3」(泣きましたよ~)の著者である氏が、熱く金田作画を分析し、語った。こうして動画とともに見るとよりわかりやすい。何度も何度も見たボルテスのオープニングの、殴りあう健一と一平のシーンも、コマ送りで見たのは初めてだ。ひとコマひとコマが想像以上に「金田」調なのに驚き。
氷川氏は、金田氏と新作の話をしていたとかで、それが永遠に手伝えなくなってしまったと無念を語った。
エヴァンゲリオンの庵野秀明監督も壇上に上り、弔辞。とかくやんちゃな印象の監督だが、本当にその死を悼み、献花の際にはめがねをとって涙を吹き、深く深くお辞儀をしていたのが印象的だった。
亀垣氏って、あんなにお茶目だったんだ…
親しかった方々が口々におっしゃるのは、金田氏の自由闊達な精神。作風もさまざまな枠からはみ出る人だったが、その素顔もそのままだったらしい。とくに「グレートマジンガーを歌う金田伊功」画像では、リアル「金田パース」が見られ、ああ、あの動きやポーズは、氏にとっては極自然な表現だったのだと再発見。私は作品と、クレジットの名前でしか金田氏を存じ上げないのだけど、(前述の記事で、私はちょっと道を誤ってしまったのにw)その人柄に触れられた。
新しい時代の「ラッキーマン」や「半熟英雄」の映像も大画面で堪能。私は子供が小さい頃「ラッキーマン」を見て「きゃ~~金田さんの絵だ~~」と騒ぎ、おかげで息子がアニメーターに興味を持った。「半熟英雄」をプレイした時も、あのラッキーマンやザンボットの人、と聞いて激しく納得。いやあ、大画面で見ると改めてすごい。ゲームのほうもやりたくなってしまった。
アニメーターの友永和秀さんが最近スクウェアエニックスからの依頼で、鋼の錬金術師の金田氏の原画をリライトした話をされた。自由闊達、設計図にとらわれない金田氏の絵を見て興奮、しかしキャラクターをあわせなくてはならない。あわせると、氏の持ち味が失われる……と悩んでいたところで訃報を聞いた、とお話されたのには胸が痛んだ。
作品としては、原作のイメージを損なってはいけないだろうけど、もしかしてそれが「遺作」であるならば、できれば「金田暴走バージョン」も仕上げ、特典映像などにしていただけないだろうか。
あと!「ドンデラマンチャ」の映像、初めて見た!故・長浜忠夫監督の遺作であり、たしかこれを作る時に年賀状までいただいていたのに見ていなかったのだが…これはすごい。
カルト的な評価だそうだが、たしかにここまで金田伊功暴走が堪能できる映像もちょっと無いと思う。
ラストはご親族のお言葉。奥様、若い!「金田は皆さんご存知の通り『ポニフェチ』で、今日は年甲斐もなくポニーテールにしてきました」と、長く豊かな髪をポニーテールに。た、たしかに恵子ちゃん、きいろちゃん、「バース」の主人公、となんとなくポニーテールのイメージがあるw ザンボットのキャラクターデザインは安彦良和氏なのだけど、金田氏があまりに強烈過ぎて。(後にダイターン3で、安彦作画の回には金田氏に負けないくらい暴走していたのが懐かしい)
…奥様と、弟さんのお言葉に、涙を拭う参加者多数。我々は偉大なアニメーターを失ったが、親族にとってはもっと大きな痛手だっただろう。しかし、このアニメーターを悼み、1200人規模の会が催され、入りきれないほどの多くの人が集まった。
〆は、金田氏は早すぎる死を迎えたが、作品は残る。日本のアニメを語る上で、これらの作品が語られないはずは無い、この人がいたことを忘れないで、だった。
忘れちゃいけない。
とかくアニメ映画の上映会や発表会では、プロデューサーや監督、原作者、歌手、声をあてる芸能人ばかりにスポットがあてられるけど、アニメなんだから絵を描く人がいなければ作れない。なのに、「作画監督」や「原画」などに全然光が当てられないのは困ったことだ。金田氏の存在は、多くの豊かな才能をアニメ業界に集め、そちらの面でも日本のアニメの質を格段に押し上げたのだけど、過酷な労働条件に、まったく光を当てられない状態では、ハコモノを作ったっていずれ滅びる。
なお、今日の参列者には、小冊子が配られた。
画像をアップしたかったけど、今「避難場所」なのでアップは後ほど…
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