漫画は世界を支配する
初めて、ろくに読まずに日記をカキコしてしまう。
近頃何かと話題のコミックである。
おっと、また表紙貼り失敗…だが、今本屋に行けば普通に目に入る本だと思う。
「若者奴隷時代」
ろくに読んでおらずぱらぱらとみた限りでも、その主張は理解できる。高齢化社会、団塊世代と言われた、戦後ベビーたちが一斉に定年を迎える。バブルがはじけた時代に世に出された私の弟世代…いわゆるロスジェネ…ロスト・ジェネレーションは、その能力や意志に関わらず、願った人生を送れない。終身雇用は崩れてしまった。普通に真面目に働いていれば妻子を養え、天寿を全うできる時代は終わった。男女平等とかで、共働きが当たり前になったが、それはさほどおいしいものでもなかった。妻も働かなければ、生計を立てていられない。子どもを産もうにもそれができない。産んだ所ですぐにも働きに出なければいけないのに、受け入れ態勢が整わない。
「職を得てから来てくださいね」by保育所
「保育をなんとかしてから来てくださいね」by会社・ハローワーク
かつて日本産業を支えたクルマを買おうにも、その企業が期間工にそれだけの待遇を保証しない。「契約が切れたから出てってくださいね」で、寮を追い出された若者がすぐにホームレスに、あるいは樹海行きになると言うのだから、どれだけ冷遇していたかわかるというものだ。
日本は、どうなってしまうのか。
そんな不安な時代に、タイムリーな本ともいえる。
…が、ひどい。
ぱらぱらとめくったあたりで見えたのは、劣化小林よしのりのような、極端にカリカチュアライズされた老人たちだ。醜くあさましく、老人特権を享受し、若者を迫害する老人たち。
人気コミック「シバトラ!」でもこんなエピソードがあった。
お年寄りを狙った連続振りこめ犯組織の親玉を追究してみれば、少年。童顔刑事柴田は体を張って少年刑務所に潜入し、ついにその正体を突き止める。
少年は言う。「俺たちは年寄りを支えさせられている。だから、それをとりもどすだけだ」
ざけんなああああ!
と思った。このストーリーは少年犯罪の闇の部分を追うものであり、非常におもしろいのだが、この少年の主張だけは納得がいかん。そんなことは、せめて税金を払ってから言うものだ。
たしかに高齢・少子化の今は高齢者が支えられる一方で、若いほど年金を払っても損をするばかりになっている。私の弟なども、そういう理由で年金を一切払っていないようだし、こういったひずみは嘆かわしいことである。
だが、高齢者は一方的に若者を搾取する存在かと言うと、それは違うだろうと思う。
今、舗装された道路を歩き、電気や水道が当たり前に使えるのは誰のおかげか。
誰でも手紙を出せばすぐに遠くの目的地に届き、街は街灯で明るく照らされる。小さい頃遊んだ公園は誰が作ってくれたのか。貧しい子どもでも読み書きができるようになったのは、誰のおかげか。
良くも悪くも、みな先人たちの遺産を受け継いでいるものだろう。
今は役にも立たない年寄りも、自分の、あるいは自分の親世代を支え、育ててきた世代だ。そして今こそ若々しい人も、いずれは年寄りになるのである。
「ジジババを殺さなければ…」などと謳う過激な表紙には、「殺人を示唆するか!」と危惧する。
30年ほど前だが、私は子どもの頃、自由研究で「漫画とアニメ」を選んだ。子供なりに考察し、「いずれ、漫画とアニメが娯楽や教育の主流になる」と書いた。当時としてはふざけた研究だったが、金賞をもらってしまった。そして、10年ほどでそれが実現してしまった。
が、漫画という表現手段は恐ろしいものでもある。わかりやすいぶん、簡単に人を扇動し、洗脳さえできる力がある。あのオウム真理教始めとするカルトが、いずれも漫画やアニメを多用していることからも分かると思う。
漫画の読み方を、子どもたちに教えないといけないと思う。
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