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2010年6月10日 (木)

土佐日記になるかもしれない

恥更級日記というタイトルは、自分が新型欝???な状態で、何をしようにも目の前に崖が見えて一歩も動けない…
一応、料理はできる、洗濯もする、子どもも餓死させない…けど、それ以上は何もできない……
というときに思いついていたのだけど、

それを形にするまでに、何年かかったか。

しかも「恥更科日記」って、蕎麦屋かよ!てな自爆ギャグ。

…まさか、こんなに長く続くとは思ってもいなかったもので。
orz

しかしまあ、よくもこんな恥ずかしい日記を連ねてきたものよと思いつつ、一番心にかけてきた、我が不登校暴力息子。

あんこくきし が パラディン になった!

くらいの見事なジョブチェンジではないか!

いやあもう、この孝行息子ときたら、私が通勤に使う自転車の後輪がパンクか何か、空気が抜けてしまう、という悩みに何日もかけ、深夜にいたるまでメンテナンスしてくれたのである。
何度やっても、大丈夫かと思うと急に空気が抜けてしまう。
今月はバイトが少なくて大変という息子に「2000円で、なんとかして」と仕事を与えたら、とことん不調の原因を追究し、予備のパーツを買い、しかも追加料金はいらねえ、これがなおせなけりゃ返金する、という。

そしてようやく、小さな小さな、簡単には見つからない穴を見つけ、ふさいでくれた。
私は快適に通勤できる。

…息子がまだ幼いころ…パパが行方不明だったころ、私は自転車のパンクを「一緒に直そう」と息子を連れ出し、一緒にああでもない、こうでもない、とやった。そんな不器用な母子に、通りすがりのおじさんが手を貸してくれた。息子は「ああいう大人になりたい」と、小さな瞳を輝かせた。

それが、今実った。

自動車の普通免許をとらせることと社会勉強のために、私は15歳だった息子にバイトを勧めたのだが、これもまたたわわな果実を実らせた。
「俺は、苦情係の仕事でもしたい」

おおおおおおおお奥様聞きまして??????
息子は3年のバイト生活で、汚物の処理も店の開け閉めも、レジもさらには商品管理の鬼として働いてきた。
テストなどでしばらく休んだ後、息子が出勤すると、商品管理漏れが大量に出る。
「お客様に最良の状態で商品を届ける」
息子は、持ち前の「融通の利かなさ」を発揮した。一日たりとも、賞味期限切れは許さない、直射日光や雨ざらしなどもってのほかである……とにかくきちんとする。…我が家ではごみの中に住んでいるようだが、確かに息子は賞味期限にはものすごくうるさいのだ。私など「昔は鶏卵など、常温で1ヶ月は平気でもつ保存の利く食材だったのだから、賞味期限なんて気にすることはない」というくらいの女だが、息子はそれを絶対に許さない。
…まあ、お客としては、息子のほうがありがたい店員だろう。

息子は家ではどうでも、店では大変お客様に献身的に働いた。
ことに、若いのに上手だったのが「クレームの処理」だ。
もちろんそれは高校生バイトの仕事ではなく、社員や店長の仕事だ。だが、息子は、最近入った社員と店長のクレーム処理に絶望。
「舌をほっぺに当てて…わかる?アメダマ状態でお客の苦情を聞いているんだよ…」

…別に俺は悪くないしー…みたいな。

私も人の心が読めず、人の顔を覚えられず、臨機応変に対処するということがまったくできず、10代前半まで笑顔を振りまくこともできない不器用さで苦労したが、「常識」はわからなくても、理屈で「こうすると相手は怒る」というようなことは本で学べた。うちの娘が、よちよち歩きの年頃でもできることが、本を読まないとわからないという自分の特徴を知るだけに、息子にも理詰めであれこれ教えたのだ。
息子は私の想像以上に賢く、お客様の顔を覚えて臨機応変なやりとりで好感度アップ、苦情を受けても適切に対応し、むしろお店への好感度アップ、ということもできていたようだ。

「苦情処理は、社員しかできない。けど、あんな態度でやるくらいなら、俺が苦情係になってもいい。あいつよりはうまく処理できる!」

息子は豪語。

…たしかに。私がお客の立場なら、そんなアメダマ店長に出会ったらぶちきれる。
クレームを言うお客にも2種類あって、苦情を言うことで何かしらの見返りを期待する、悪質な人々もたしかに存在する。
それだけに、良識あるお客は、なかなか苦情を言いにくい。そんな中でも、ご面倒でも苦言を呈してくださるのは、まことにありがたい存在だ。気に入らなければそのまま二度と訪れなければいいものを、わざわざお言葉を下さるのだ。
私が昔勤めていた某デパートでも、「クレームは最大のチャンス」と訓示を垂れていた。わざわざ苦情を下さるお客様は、丁寧に対応することで優良顧客となり、さらに素晴らしいアイデアやヒントを下さる。
クレームをチャンスにするかピンチにするかは、対応しだいである。

そのお客様に対し、その態度では、せっかくのチャンスをピンチに変えるだろう。息子はその辺を心得ていて、新人バイトの頃からも社員が怒らせたお客に礼を尽くし、「ああ、君は悪くないから」とその場を繕えたというのだ。
いまどき、すごいスキルだと思う。

運転免許を取るのに、どうもそのバイトのスケジュールが合わないのと、新しい社員さんへの不満もあって、息子は退職を決意。退職願いと菓子折りを持って職場に向かうとき、息子はその店のお客に声をかけられたという。
「あら久しぶり!」
しかし、息子は「…今日、退職願いを出すんです…」
「…えっ…残念…」

その話をしたとき、息子は涙を浮かべていた。小さい子を連れた親子、体の不自由な人、怪我をして来店された方、いちいちクレームを言う人(ただし、その人は息子には一度も文句を言わなかったらしい)……息子は多くのお客様に信頼されていたようだ。

…ああ、息子自慢がとまらない。

恥をさらすどころか、うちの子はこんなに素晴らしいんです、アスペでも、不登校でも、家庭暴力を働いても、こんなにも働けるし、有能だし、人にも愛されるんです、と何百行でも自慢したい。

「結局親ばかだったとさ日記」
として生まれ変わりたいくらいだ。


しかし、そんな素晴らしい子をこれまで埋もれさせ、暴れさせていたのも私の不徳のいたすところか。

よし、ちゃんと恥を晒した。

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コメント

私は三年前の闇鍋さんです。

思春期に家庭内暴力をしていた子どもが落ち着いて、社会に適応しているという話は、私の理想であり希望です。


うちはまだ時々ビックリするような事をして、立ち直れない時もありますが、高校に入ってずいぶん落ち着いてきました。


最近 中学の時の友達を見返してやりたい と言います。


前向きなパワーととらえたい所です。

投稿: みりょこ | 2010年6月10日 (木) 23時46分

みりょこさん、ようこそ~!
「見返したい」いいですね!
私も子どもの頃いじめに遭って、相手に憎しみを募らせたとき、あれこれ考えつつ得た結論が

「絶対幸せになってやる!」

でした。
以前にも書きましたが、息子は自分をいじめた子にばったり会いましたが、「よぉ」と、なんと言うこともなく会話をしたそうです。その子は「高校つまんなくてさー」なんて言っていて、当時充実していた息子は、憑き物が落ちたようになりました。
マイナスな経験は、プラスに変えればいいんですよね。

投稿: 闇鍋奉行 | 2010年6月11日 (金) 21時34分

はじめまして。こんにちは。
たかこ、と、申します。
確か数ヶ月前、「離婚」関係のことを調べていて、貴女様のブログと出会いました。
現在夫とは別居中(DV夫=主にモラハラ)の47歳ですが、
高3女子、中3男子の子供たちがいろいろ難しく、問題ありなので(だからこそ?子供たちは愛しくてどうにかしたくて)、四苦八苦している現在です。
そんな中、
こちらのブログを読ませていただき、色々考えさせられ、
いろいろ勉強させていただきました。

今日は「自転車」のくだり、
「クレーム担当」のくだり
で、なんだか泣けてきて、出勤前の時間の無い今ですが、どうしてもメッセージしたくなりました。

力をいただきました。いつも励まされている気持ちになって読ませていただいています。
ありがとうございます。


どうか土佐日記でも、蕎麦屋の日記でいいですが、長く続けていただけると嬉しゅうございます。
ネットの隅で応援しています。

梅雨に入って不安定な気候ですが、どうぞご自愛くださいませ。

投稿: たかこ | 2010年6月15日 (火) 08時48分

たかこさん、ようこそ~!
心のこもったメッセージ、ありがとうございます。
酔った勢いで書き散らした日記ですが、そのように感慨をもって読んでいただいた方のいらっしゃることに、私も生きていて良かったとさえ思います。

…しかし、その分、辛いですw

この先、わが子自慢の痛い日記になるかもしれない(私はそれでうれしいけど!)、いつものようにアニメやゲームのことを書き散らすだけかもしれない。
…ので、まったく期待しないでいらしてください~

投稿: 闇鍋奉行 | 2010年6月16日 (水) 23時51分

こんにちは。

しつこくメッセ、おゆるしください。
アニメもゲームも親子とも好きなので、ご心配なく。
青池保子は中学一年の頃から好きでした。
「NHKへよこそ」だって、息子から借りて読んだのだ。
ついでに申し上げれば、声優、ペットなんてジャンルも大変好きですし、どの記事も「興味ないな=」と、思った記憶はございません。

なので、やはり、大変楽しみにして訪問させてくださいませ。

返信不要です。

投稿: たかこ | 2010年6月17日 (木) 17時41分

たかこさん
ありがとうございます

投稿: 闇鍋奉行 | 2010年6月17日 (木) 23時24分

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