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2010年6月17日 (木)

詐欺師から金をとった話

その人は初対面で、「私はちょっと前まで海外にいたのよ」と笑った。
おしゃれなヨーロピアン、アジアンのアンティーク家具に囲まれて、いかにも華やかな人だった。

「へえー
私は瞳を輝かせ、さも憧憬の念を抱いたように振舞う。

…こういうタイプは、あやしい。

営業職をやると、いろいろな人にお会いする。
そんななかで「やばい人」が、ずばりこのタイプだ。

虚栄心が強く、何かと洋行帰りだの華麗な学歴だの有名なあの人と友人だのと自慢する。

…まあ、話半分に聞いておこう、と思いつつも、顧客になるかもしれないのだから、まずは相手を喜ばせることだ。
名刺を差し出し、ご名刺を頂戴しようとすると
「私、名刺は持たない主義なの」
と、別のスタッフに名刺を出させた。
……ああ、こういうパターン、何度か見ている。

社に戻って報告すると、上からこんなご用達。
「気をつけろ」
なんでも、この人は昔とあるお店で金を持ち逃げしたとかいうトラブルがあったことで、知られていたらしい。
…でも、こんなご時世なので、ビジネスチャンスがあるのなら営業に行くなとも言えないようで。とにかく毎月の顔出しを欠かさなかったら、ようやくチャンスが来た。
ご用命のものを納品する段階で、なんと同業他社から情報が来た。

「うちは踏み倒された」

ええええええええええ。
大手ライバル会社もとりはぐれるとは!

これは本気でやばそうだ…とりあえず、わが社では、最初の取引では納品と同時にご集金という形をとらせていただいている。きちんとアポをとり、指定どおりの時間に伺った。
…その人は不在で、従業員もわからないという。名刺を下さった方は、辞めたという。
急用とのことだった。また改めてということで、翌日電話をすると、なんと
「急病で救急車で運ばれていた」というのだ。

私はその午後、500円ほどの小さな、でもおしゃれなブーケを持って訪れた。
その人は奥にいるらしいが、体調が悪いとのことで顔は出せないという。
「急なお病気で、驚きました。お見舞いというほどのものではありませんが、どうぞこれを」と、ブーケを渡した。

数日後、またアポイントをとってうかがうと「昨日は銀行にいけなくて~」とおっしゃるが、まあ、それは大変でしたねえ、お待ちしますのでどうぞ銀行へ、と優雅に微笑んでみた。

ようやく、ご集金ができた。

またしばらくして私にご用命があり、こちらは滞りなく取引ができた。
何かにつけお会いするたびに「お体は大丈夫ですか?」「お痩せのようで」「今日はお顔の色もよく、安堵いたしました」と微笑みかけたのが功を奏したのだろう。

「あそこ、つぶれるらしい」
という情報が来る頃には、もぬけの殻で、よその土地に移転するような情報もあったのだが…

その次に来たのが、「逮捕状が出た」とかいう情報だった。

なんでも従業員の皆さんは、きちんと給料を出してもらえていなかったらしい。
従業員としてあごで使いながらも、「共同出資者」として資金を募り、報酬は売り上げから、という状態だったようだ。
とはいえ、この人の悪評は、本来顧客になったであろうリッチな奥様方には有名で、「あの人の店には行かないわw」状態。それではジリ貧だろう。
その従業員らから訴えられ、出資法違反で逮捕。

「前の、海外にいたというのも、実際は刑務所にいたらしい」

とまで聞いてまたびっくり。
胡散臭いなと思った直感は、思った以上に正しかったようだ。

しかしそんな立派な詐欺師から、私は2度取り立てたのだ。

われながら、こわいw

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