学研の本気を見た
学習漫画専門誌が小学館から出ていたり、人気キャラクターや萌えキャラを使った参考書類が大量に出たり…
もう食傷気味だよ! と思っていたところに、こんな表紙が目に入った。
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鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 錬金術を科学する!! 販売元:TSUTAYA online TSUTAYA onlineで詳細を確認する |
言うまでも無いが、「鋼の錬金術師」は、今最も熱いコミックのひとつである。
6月に堂々の最終回を迎えたが、それがニュースになるほど。掲載誌はたちまち完売、ネットオークションでは高値がつく有様。9月にはこの最終話を再収録するとか、異例の状態だ。
以前のテレビアニメも、途中から連載に追いついたため、まったく独自の展開をみせ、これがなかなかに面白いと言う、また異例の事態だったが、原作の荒川氏はまったく動じず、本来のストーリーを書ききったようで、その原作に忠実なバージョンのテレビアニメも先日、見事に完結を迎えた。こんなに短期間に2度もアニメ化されるとは、ゲゲゲの鬼太郎レベルか??という、まさにビッグタイトル。
ほおおん。
今日はかなり遠くに仕事で出かけていて、田舎の、いまどき貴重な駅前の本屋さんでのことだ。
珍しい、コミックにビニールも何もかかっていない。
表紙だけ見たら、地雷臭ぷんぷん。以前もゲームのアトリエシリーズのサイエンス本を買ったが、…まあなんというか、かなり無理がある内容だった。まあ「これ、需要があるのかよwww」と言いながら買うという羞恥プレイを楽しめたのだが…こんなビッグタイトルにつられて買って、地雷だったら…闇鍋奉行の名が廃る。なんとなく。
ぱらぱらとめくって、しばらく逡巡して、購入。
…スクエニではなく、アニメディアの学研の出版であった。
学研といえば、学習漫画の老舗中の老舗。いや、これがなかなか良く出来ている本だ。
アニメの名場面、名キャラクターたちをビジュアルで紹介しつつ、あの場面この場面を科学的に、かつ錬金術的に解説。キャラたちの会話で進む部分もなかなか絶妙だし、あの世界観を損なうことなく、「ハガレン」をより深く理解し、さらには現実のサイエンスをわかりやすく、おもしろく、興味深く知ることができる。
あのシーンでウィンリィがピアスをはずしたのはなぜ?
なぜあのシーンでエドは錬金術を使えなかったの?
マスタング大佐は、どうして「水」で爆発を起こせたの?
そんな作品中の「科学」を理解し、さらにはカルメ焼きが錬金術の延長だと知る。
作品の魅力から離れることなく、興味はどんどん広がっていく。
この手の本で、ここまで完成度の高い本は記憶に無い!
アニメ雑誌ならではの元作品へのこだわりと、学習雑誌の老舗の気概。
そして科学や歴史を独自の感性で見事なファンタジーに融合させた原作。
この幸運な出会いが、この本を練成したのか!
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コメント
ほ、欲しい、これ。
っていうか、買います。
大佐、好きだし。
いつも有益で新鮮な情報ありがとうございます~~
投稿: たかこ | 2010年7月16日 (金) 17時36分
たかこさん、ようこそ~!
ディープなファンの方にはどうかわかりませんし、ちょっとお高めではありますが、いい感じにミーハーしつつ、科学と錬金術の知識が得られる良書です。
投稿: 闇鍋奉行 | 2010年7月16日 (金) 20時38分