« キアゲハ襲来! | トップページ | ああもう »

2010年8月17日 (火)

息子とバイキンマンの男気について語る

ああ、暑いなあ。

今日は盆休みをいただいてのんびりできるものの、室温が33度、夜も30度を下回ることの無い状態だ。

まあ、会社もエアコン壊れていて大変なんだけど。

という逃げ場が無いながらも、少しでも貴重な休みを利用したいというもの。息子が教習所にでかけるとかで、じゃあ涼しい店でランチでも、ということになった。

…息子、たとえ「冷蔵庫の鳥もも肉やほうれん草使っていいからね」と言ったところで使わない。それでも自分で買ったカップめんでも食べればいいほうで、お昼過ぎに「お昼、食べた?」とメールをしたら、16時過ぎに「まだ」という返信があるのだ。

息子の部屋は西日が当たると猛烈に暑いし、そこで裸同然でネトゲに夢中…いろいろ心配な息子ではあるが、生命の維持も気になるところ。

とにかく、食べさせたい!

ジャンクフードでは摂取が難しい、ビタミンや繊維、ミネラル分を!

母性本能なんて信じていないけれど、子どもの頃から生き物を飼うのが好きなので、そのくらいの本能はある。その点は、我が子を餓死させる親よりはましか。

というわけで、カレーのランチバイキングが人気の店へ。
やはり意外と食べないのだが、とりあえずそこは息子のお気に入りで、焼きたてのナンやキーマカレーを食べていて、よかった。夫もお気に入りの半端じゃない海鮮丼の店や、馬刺しの店が盆休みで残念だったけど。

そのままぶらぶらと話をしながら漫画の豊富な書店へ。息子、あまりそこを知らなかったらしく喜んでいて、話もはずむ。

で、なぜかアンパンマンの話になった。

きっかけは、息子いわく、漫画家が犯罪を犯したところで作品が嫌いになるとかありえない、あんな表現をする芸術家が犯罪を犯すのは当然、薬物や性犯罪なんて当然だ、という主張をしたところだ。
私も、大好きな漫画家・花輪和一氏が逮捕されてしまったという新聞記事にに「すわ、何人殺した???」と反応し、幸いにも銃の不法所持程度で「え、日本刀で腹を割いたとかじゃないんだー」ととんちんかんな安堵をしたことがあるので、なんとなく気持ちはわかる。が、後に評論家の呉氏が、優れた表現者なのだからお目こぼしを、という主旨の擁護をしたときには、それは違う、と思った。

芸術家が何かしらヤバイのは知られているが、芸術家だから犯罪を認めろというのはおかしい。

で、そんなやりとりをしているうちに、「もしもアンパンマンの作者が万引きで捕まったとしたら、子どもたちはその矛盾を受け入れられないでしょう」と私が発言。息子は少し考えて反論。
「いや、それほどまでに飢えて、作者にはアンパンマンのような存在は現れなかった。だからこそ、あの作品を生んだのだと考えればいい」
息子、無駄に美声で、理知的である。

……たって、我が家ではアンパンマンって、あまり見た覚えが無い。あの丸っこいデザインで、乳幼児はたいてい夢中になるというのだが、乳幼児だった頃の息子は、ほぼ関心をもたなかったのだ。セーラームーンにはあんなに夢中だったのに!

というわけで私もアンパンマンには何の感慨もないのだが、どういうわけかアンパンマン論議になり、なぜバイキンマンはアンパンマンに勝てないのか、という視点に立った。

周知のとおり、アンパンマンの世界は、食べ物に由来するキャラクターがひしめいていて、アンパンマンはおなかをすかせた子どもたちに「僕の顔をお食べ」と分け与える。しかし、顔が欠けていたり、汚れたり、濡れていたりすると、本来のパワーを失ってしまう。そこに、ライバルのバイキンマンが攻撃してくるのだ。はーひふーへほー!

ならば、飢えた子どもが大勢いれば、アンパンマンもジャムおじさんも不利である。

あるいは、アンパンマンの顔の原料である小麦粉の供給路を断つ、などすれば確実にバイキンマンは完全なる勝利を得るだろう。

と、私は持論を展開。なぜ、バイキンマンは瑣末な戦略に終始するのか。

すると息子は気色ばむ。

「そんなレベルの低いことを言うな。バイキンマンの男気を、知らないのか。バイキンマンは、『手を洗いましょう』という子供向けのポスターに、進んで出演しているんだぞ」

息子は、今にも涙ぐまん勢いでバイキンマンを語る。

……それはたしかにすごい。

バイキンマンは、ある意味主人公のアンパンマンよりも幼児に人気がある。
バイキンマンでさえ、ごはんの前には手を洗おう、とにこにこ手を洗っていたら、幼児としては可愛いおててを洗うだろう。

しかしそれは、バイキンマンにとってアイデンティティの否定でもある。
同胞への裏切りでもあるだろう。

「だろ???『手を洗う』だけで、どれだけの菌が死滅するんだか。自殺行為だろう!
 俺はこんな犠牲を払ってまでも、幼児に手を洗うことを奨励するバイキンマンに、男を感じる。
 彼にとっては、硫酸で手を洗うに等しいぜ!」

「うーん、それは、アンパンマンが『顔を洗いましょう』のポスターに出るくらいの犠牲?」

アンパンマンは、顔が欠けても、汚れても、そして濡れていても力が出ないのだ。

そんなもんじゃねーーー!と息子。

そんなことを街中や電車で語る母子。途中で、私の顧客様にもばったり会うしorz

「バイキンマンと、もやしもんの菌たちの会話的な同人誌でも作ったら?」
「アンタが描けよ」

知らんわ。

|

« キアゲハ襲来! | トップページ | ああもう »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« キアゲハ襲来! | トップページ | ああもう »