コミックで、自戒
ああ、買うつもりは無かったのに。どうせ未読なんかないんだから。
でもつい買ってしまったこの一冊。
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天人唐草 (山岸凉子スペシャルセレクション 5) 著者:山岸 凉子 |
いわずと知れた、山岸凉子の本当の怖さを知る名作「天人唐草」を含む短編集である。
読むとどういうわけか「岡村響子は、私ではないのか」と考えさせられてしまう。
というわけで、私は勝手にこれを「自戒モノ」と分類しているのだけど、同じく「自戒モノ」で、さらに踏み込んだ「負の暗示」と同時収録というのがおもしろい。
津山30人殺し。
日本犯罪史上に残る猟奇殺人事件の犯人の人格形成や心理をルポ風に追う。
ともすれば岡村響子は、古風で厳格な父親の犠牲と解釈されがちであるが、負の暗示の主人公・土井春雄は、甘やかす祖母、彼を囲む女たち・社会情勢のあれこれこそあれど、現実を受け入れず、肥大した自尊心とのギャップから狂気に陥った。そうして稀に見る凶行に走った男を、ただの犠牲者と哀れむことはできない。
どちらも平凡な人間が狂気に陥る過程を描いているが、土井への視点はより厳しく、また読者にも鋭い質問が投げかけられるのである。
あなたは、こうではないですか。
あなたは、岡村響子ではないですか。
土井春雄ではありませんか。
いやなことを先送りして、日々怠惰な生活を送る。ちっぽけなプライドにすがって、うそにうそを固めていても、お天道様はお見通し。
山岸作品の怖さは、読後に本当の恐怖を感じるところだ。
またその魅力は、そうならないように、読者を導いてくれるところだ。
☆
来月、テレプシコーラ第2部最終回…だそうだが、うわー、ほんとにローザンヌの数日で終わってしまうのか???
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コメント
テレプシの最終回は、その後連載がしばらくお休みになるのが何よりの恐怖です!
投稿: mura | 2010年8月12日 (木) 07時50分
muraさんようこそ~!
たしかにそれは恐怖…でも、ヘンなところで止まってお休みされるのももっと恐怖だと思います
投稿: | 2010年8月12日 (木) 20時13分
...これで空美関係放置&第三部がはじまらなかったらダビンチ投げていいかな?
投稿: べぢ | 2010年8月13日 (金) 14時03分
べぢさんようこそ~!
一応空美ちゃんには触れ…?
どうなるんでしょうね。
投稿: 闇鍋奉行 | 2010年8月13日 (金) 23時30分
私も闇鍋さんに教えられてから『テレプシコーラ』読んでいたので。
空美ちゃんを、「あと一回」で謎解きできるのかな?というのが、大いに気になります。
投稿: まーく | 2010年8月18日 (水) 17時11分
まーくさん、お久しぶり~!
えっテレプシコーラ、読んで下さってたんですか!
投稿: 闇鍋奉行 | 2010年8月18日 (水) 23時09分