息子の自動車学校生活
息子は今、自動車学校に通うほかはネットゲームやなつかしのテレビゲームに興じ、家の掃除や買い物を少し手伝う暮らしである。
自宅警備員
主婦
ニート
…いや、ニートというのは職が無い上に職を得るための勉強もしない状態をいうのだ。運転免許を取ろうとがんばっているので 辛うじて 「無職男性」。 断じてニートではない …ッ
というぎりぎりの毎日で、半年が過ぎてしまった。うーん、ほとんどの試験を優秀な成績で一発合格しているし、先日は体調を崩してわずか1点足らず、しかも再試験の3800円を持っていなかったばかりに、翌日ハートキャッチプリキュアを諦めて再試験を受けたのだが、今度は94点の高得点だったそうだし、…話を聞く分には順調そうなのに、運転免許を取るのは大変なんだなあ。
「今度は高速実習なんだ」とちょっと前に息子が言っていた。なんか、やけに緊張している。話すと息子は高速道路というものを良く知らないらしい。
「あんた、じいちゃんとよくドライブに行ったじゃないの」
「いつの話だよ」
「…ああ、うーん…結構昔か」
息子が低学年くらいまでは、何かと車に乗せてもらいあっちやこっちに行った…と思ったが、あの時の旅行は子どもらが寝ている間に高速道路を越えてしまったようだし、息子は、あの時速100キロの世界を体験した記憶がないかもしれない……
「こえー、時速100キロ、こえー」
やたら怖がる息子。…だから、車はいやだの旅行行きたくないだので引きこもっていたから…ったって、私も子どもの頃はもっと偏屈で、やっぱり車を嫌い、家にこもることを好んだ。それで免許を取るという発想さえなく、おかげで今、履歴書は真っ白。就職は難しいし、身分証明もできない。だからこそ、子どもには何が何でも免許を!とか言っているという勝手さなんだけど。
「あんたが知っている時速100キロの世界って…『リッジレーサー』くらい?w」
うう、そんなに怖がらなくていいわといいたいのだが、こんな例では、他の車に追い越されそうになったらお尻を振ってぶつけてしまいそうだ!
さて、息子はしっかり遅刻せずにその実習を受けてきた。
「遅刻やドタキャンは禁物だからな」
話を聞くと、この実習は数名一組で行うのだが、一人でもドタキャンすると、他の人もキャンセルされてしまうのだという。なんでも、前にそこの教習所で、有給休暇をとってその実習に臨んだが他の人がドタキャンして一日が棒に、そしてその次も有給休暇がぱあに、という気の毒な人がいたらしい。
「だから、俺は絶対寝坊できねえ!」
…ああ、あの起きられなくて不登校の日々よ。息子、やればできるじゃないか!
幸い息子の組は誰もドタキャンが無く、無事に高速道路での教習を終え、息子は上機嫌で帰ってきた。
3人一組で、一人はなんだかいろいろ危なっかしい人だったという。そしてもう一人は
「片腕の無い人だった」
……あら……
「でも、その人が一番運転がうまかった。安心して乗っていられた」
……そうか…
息子の目は、輝いていた。
私たちは性格やものの考え方が変という障害だが、だからといって甘えてはいけないな、と二人で話し合った。
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