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2011年3月30日 (水)

父の「要塞」

「オール電化」と聞くと、一面の皇太子殿下を想像してしまう。

そんな私であるが、実家はオール電化である。
私は、万一停電した時に困るからと、どうにも抵抗があるのだが、父はしきりにオール電化を進める。
うん、たしかに安全だ。…だが、どこか味気ない。轟々と炎を上げて中華なべを振る快感には変えられない。
「ちゃんと中華炒めもできる強火もできるぞ」
…けど、鍋の中をかき回すだけでは…
「揚げ物も失敗しないぞ」
…油の温度くらい見られないでいたら、人間の能力が損なわれる。…まあ一応うちのガスコンロだって、油が200度を越えたら火が消える程度のことはしてくれるし。
たしかに便利で失敗無く効率もいいけれど、うちはあえて効率悪くても、冬は煮物で部屋を暖めるのが好きだし。
「かつおのたたきが作れないでしょ!」と答えてもみた。
丸ごと、または皮付きのかつおをぱちぱちと炎をはぜさせながらあぶる快感と美味。これはオール電化では無理!

…すると父は、あぶり料理用のバーナーを買ってきたりするのである。

父は凝り性なのと心配性??なのか、とにかくいろいろなものを備えている。

まず、ソーラー発電システムを採り入れた。

余った電気は売れるし、節電に努めればほとんど電気代がかからない。
このシステムが壊れない限りは、非常時でも快適なオール電化ライフが楽しめるというわけだ。
それが壊れたら??
自家発電システムも、別に用意している。
ここ20年ほどは旅行に行ってもアウトドアライフで、そのための高火力バーナーも備えているので、本気で停電になっても、やはり快適に温かな飲食物が楽しめる。
以前2階のトイレに入ったら、壁一面がティッシュやトイレットペーパーの備蓄だった。
水やお湯は常に貯めてある。昔使っていた電気ポットはやめ、沸かしたお湯をサーモボトルに入れて順次使っている。で、これまた私にこれはいいぞと勧めてくるのだが、私は結婚して以来、電気ポットは一切使ってない。サーモポットは私のほうが早いわ。

この実家では、原発の話題は一種のタブー。
父は、かつて原発を作る側の仕事をしていて、母と私はどちらかというと原発に否定的。
どうあっても話題が荒れるからだ。

…しかし。
父のように徹底的に節電の工夫をして、また何重にも安全対策を施した上なら、絶対原発が悪いと言うわけでもなかっただろうに。

今の福島原発や、もんじゅの不安に、押しつぶされそうだ。
素人目にも、なぜ、それを後回しにしたのだ、なぜ最初にそうしなかったのか、またなぜ一刻も早く他からの援助の手を求めようとしなかったのか……と悶々とする。
「安全だから、対策は必要ありません」は通用しない。
幾重にも、本当に幾重にも対策を決め、最新のシステムで対処できるようにして、初めて「原発は安全です」と宣言してほしいものだ。

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