稼げるって素晴らしい
娘が何度も落ちた末に、ようやくバイトを始められた。
わずかではあるがお給料を得て、娘は私にヤフオクをねだってきた。
古いPSソフトなのだが、うっかり割ってしまったのだ。
ギャルゲーといえばギャルゲーだが、深い世界観とほのぼのとパン屋の手伝いと村人らとの交流にふける「夏休み」は、わくわくどきどき。子どもらもまだ小さかった頃だが、お試し版ではまってみんなで遊んだだけに思い出深い「場所」なのだ。
しかしこのソフトはマニア的な人気があって……というか、マイナーで(苦笑)今は中古でしか入手できず、その数も少ないのでめったにお目にかかれないし、ヤフオクなどでもほぼ定価、プレミアムがついてしまうレベルで、皆あきらめていたのだ。
「おかん、即決3000円!これ落札して!」
娘は、記念すべき初めてのバイト代を、これにつぎこもうというのだ。あれ、前に、壊れた行平鍋を買い換えてくれるとか言ってなかったっけ。
しかしまあ、娘も働くということを通して社会勉強をし、そして自分で稼いだ金で、自分の欲しいものを買う、という喜びに目覚めたようだ。よしよし。
☆
息子であるが、先日頭を抱えていた。
NDS Solatorobo(ソラトロボ) それからCODAへ 通常版[バンダイナムコゲームス]《発売済・在庫品》
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「あああああ、おかん、あと1個だってよ!」
これ、以前にも日記に書いたと思うが、もうとうに出たソフトだ。
やはりPSのカルト的名作「テイル・コンチェルト」の続編で、私も息子も発売が発表されたときには狂喜したものである。
…しかし、限定版も含めて発売されたとき、息子は失業していた。
多少の蓄えもほいほい使い果たし、もはや親の庇護の下で生きていくのがせいぜい、という状態。
「…ねえ。…限定版出るんだよぉ…」
暗に、私に買ってくれとせがむ。
私は、自身がゲーム好きということで、昔から「物分りのよい親」でありすぎた。
おねだりしなくても、ママがほいほい買ってくる、という環境で、息子は育ってしまったのだ。
ぬぅ… 限定版……
あの「テイル・コンチェルト」の続編…
ムービーだけでも見たいものだし、設定資料とかついていたら…ああ、あの可愛い獣人たち!
私もよだれをたらしそうになったが、…もちろん今の私なら、それを買うのは造作も無いことだが…
私は無視した。
ここで買ってあげてはいけない、と思った。
で、息子は、やはりかなり苦労しながらようやくバイトに受かり、私に月2万、父親に携帯代1万を収め、失業中にお世話になった方々にもお礼をしながら、残ったお金で、ネットであと1個だけあった限定版を、手に入れたのである。
今のバイトは4月までと宣言されてしょげていたが、本日もっといいバイトに採用された息子。
「おかんおかん」と、その限定版についていた特典映像などを見せてくれた。……ああ、かわええ…なんと素晴らしい世界観…映像作品として完成したら、もっともっとファンが増えそうだ。
…と、息子は「母親にゲーム映像を堪能させてあげる」ことに成功し、喜んでいるのである。
自分の力で手に入れることの大きな喜び。
親にいつまでも「食わせてやってる」と言わせない喜び。
10代後半の子に、それを身をもって味あわせるのが、親の務めなのである。
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