女性宮家とは何か
皇室関係の話題が週刊誌で凄まじく盛り上がる。
そのタイミングで、羽毛田宮内庁長官が皇族の減少について語り、一部メディアが、女性宮家や女性天皇をほのめかした。
このブログでも「天上の虹」や「女帝エカテリーナ」などについて熱く語った女帝スキーな私が言う。
女性宮家も、女性天皇もありえない。
何度か私は雅子さまにシンパシーを感じていたと書いたが、まさに四半世紀ほど前、私は自分が世の中に受け入れられない原因のひとつとして、「女性差別」があると考えていた。
だから、キャリアウーマンだという、しかも幼少時のエピソードが自分と似る小和田雅子さんのサクセスに期待したし、一時は愛子さまの即位も期待した。
それを正当化したくて、結構天皇関係の本を読んだものである。
思えば、戦後生まれの私は、「天皇」を知らなかった。
というか、当時は、天皇=悪であったし、階級社会にも、政略結婚にも、批判的なのが主流だった。少女漫画ではウーマンリブが叫ばれていたし、自由な恋愛結婚こそが正義のように描かれていた。
天皇は独裁者であり、戦争の責任者であり、日の丸を掲げたり神社で柏手をうつなど現代日本人ではない、というくらいの空気で育った。差別の根源は天皇だ、女性が天皇になれないのはおかしい…そういう時代だったのだ。
が、日本の歴史はそういうものではなかった。
たしかに、10代8人の女性天皇は総じて聡明であられる。数多の男性天皇よりも「偏差値」は上だと思ってしまう。
が、そんな能力やお志を考えても、男女の性差は覆せない。
産む性と産ませる性は、やはり違う。
女性は、生理にせよ出産にせよ、大変な痛みとリスクを伴う。天皇家は、血の継承が大切なので、もしも女性天皇がそのリスクと、祭祀を両立させようとしたら…これは大変だ。
昔の天皇は祭祀をして子作りをしていればよかったりもしたが、今の天皇は数々の公務に国際親善もしなければならない。それに出産も加わる?????
どんだけ頑張らなきゃいけないのか。
それが、果たして男女平等と言えるのか。
そして、皇統というのは父系を辿れば神の子孫に行き着く、という血統の人間が祭祀権を持つ、というもの。
領地の統治権をやり取りする欧州の王権とはまったく違う次元のものだ。
そして、その「権利」を問う事件はいくつもあるのだが、そのいずれも「男系」を最上の条件として確認するしかない。
今、皇族不足だ! と言われても驚くことはない。
過去にはもっと深刻な状況もあった。後継者たる男子皇族がゼロ!という事態だ。
そんな時でも、女性皇族を天皇にして、その子を…という選択をしてこなかった。
基本的に、女性皇族の配偶者は男性皇族に限られていた時代が、実は前世紀まで続いていた。
落ちても、摂関家クラスの有力公家への降嫁であって、皇女和宮が徳川家に下るのを嫌悪したのでもわかるように、そんな征夷大将軍風情に嫁ぐなど、内親王の恥。古代においては皇族女性は皇族の子を生む役割が第一で、運命によっては生涯独身で天皇や斎宮という重い位を守ることになったのだ。
女性皇族が天皇にならない時代になって、初めて皇族に生まれた女性が平民でも配偶者に選んで気楽な立場に降りられることが推奨される時代になった。その自由度は広がったと言えるだろう。
もしも現代に女性天皇や、女性宮家が立つとしたら、大きな問題は配偶者のことだ。
どんなに時代が変わっても、「父系を辿れば神の子孫」という大原則は変わらなかった。
そんなんどーでもいいや、と、千年以上継がれてきた世界的にも稀有な王朝を終わらせるのか?
配偶者を男系を継ぐ男性に限り、なんとか継ぐのか…って、そんな男性がいるのなら、その人を天皇にすればいい。過去、遠い傍系から天皇を迎える際には内親王と婚姻させたことが二度あるが、そんな時でも、内親王を天王に、という選択はしてこなかったのだ。
直系を優先してはいても、それが絶えれば女系よりも傍系男系を選ぶ。
そういう選択を繰り返してきたのが、日本の朝廷の歴史である。
女性宮家を言う人たちは、皇統の護持を考えるのではなく、「公務をする皇族がいなくなる」「一般参賀に、将来悠仁殿下しかいなくなるかもしれない」などと言う。
公務のために、皇族があるのではない。
式典やイベントに飾る盆栽やゆるキャラとは違うものだ。
まして、一般参賀要員でもない。
宮家をむやみに増やしても本末転倒。女性皇族が平民男性を選んだ場合、その配偶者や子供はどういう扱いになるのか。
万一その女性が早世した場合、「女性宮家」の夫や子はどうなるのか。
禍根を残すばかりになりそうだ。
さて、昔あれほど男女平等男女平等と騒いでいた私だが、
雅子さまを拝見して、自らを省みず他のせいにすることの愚かさを学んだ。
まさに紀子様タイプの卒なくなんでもできる社会性の高い女性に嫉妬した時もあったが、妬むのは筋違い。
本物の高い能力というものは、紀子様のように素直に指示に従い、確実に結果を出し、対人関係を円滑にできることなのだ。
そして、高い能力を持ちながら、素晴らしい所作で夫を敬い、恭しくたてる姿をお見せの美智子皇后陛下だが、彼女こそ真の男女平等の体現者であった。
相互の信頼と敬愛による紐帯、とは昭和天皇のいわゆる「人間宣言」であるが、夫婦というのも、いや親子でも友人でも同じことだろう。
両陛下の仲睦まじいお姿に、相互の信頼と敬愛を感じられるし、共に励まし合い支え合うお姿は、まさに現代の理想の男女関係だ。
祭祀にも熱心に挑まれる皇后陛下は、白い十二単を召されて赴かれる。
江戸時代に立たれた女帝が、この装束を考案されたのだ。
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