聖域の巻物
前回の日記で「聖域の巻物三段がさね」というフレーズを書いた。
一応解説すると、これはスーパーファミコンの名作ゲーム「トルネコ不思議なダンジョン」のネタである。
入るたびに中身が変わる、運次第のダンジョンをめぐるアドベンチャーRPG。ドラクエでおなじみの武器商人・トルネコが、知恵と勇気で立ち向かう、割りと頭脳派のゲームである。
が、そこはRPG。頑張ればいろいろ楽に冒険できるようには出来ていて、例えば自分の家の倉庫を大きくし、21階で拾える巻物を利用してなんども出入りを繰り返せば、武器屋防具を強化でき、さらにハラヘラズの指輪を装備すれば、もう楽勝!いつかは絶対にクリアできるし、楽しいダンジョン巡りができる
はずであるが。
「絶対」は絶対にないのがこのゲーム。
レベルも高く、武器は強い。ほくほくしながら歩いていて、恐ろしいのが、「ばくだんいわ」というモンスター。
こいつは、ある程度HPを減らすと動きが止まるが、それを超えると爆発してしまい、大ダメージを食らう。
私はそのとき、余裕余裕♪と思っていた。
それを下に置いて上に乗れば、モンスターは一切攻撃できない「聖域の巻物」というものを持っていたからだ。
これに乗っていれば、恐ろしいモンスターにいくら囲まれても経験値稼ぎの場になる。
私は、絶対安全な場所からモンスターを切りつけ、倒していった。
ここに居る限り、モンスターどもは手を出せず、周囲をくるくるとまわるばかりだ。
わっはっはっは、ざまあみろ!
ファンファーレの鳴り響くなか、ばくだんいわに囲まれた。
…何が起きたのか、にわかには理解できなかった。
鍛え上げられた剣が、1躰のばくだんいわを倒した。
爆発した。すると他のばくだんいわが誘爆した。
ゲームオーバー。
……自慢の装備も全て奪われ、ぽいっとダンジョンから放り出される私。
冷静に考えた。
ばくだんいわは、爆発すると周囲のアイテムも焼いてしまう。だから、モンスターもアイテムもいっぱいのモンスターハウスでは厄介である……で、自分の乗っていた聖域の巻物も、焼き払ったのだ。
自分は丸裸になり、他の爆発でHPが1になり……
聖域にあって、慢心した結果がこれか。
雅子さまも、皇族、女性、病気……という聖域の巻物の上に載っていらっしゃる。
絶対に批判されない安全圏から、これまでどれだけ周囲を攻撃されたことだろう。
諫言してくれる人は、去った。皇太子殿下の支えになるはずの人も、退けた。
学習院の児童を標的にしたことは、世界中で報道された。
国民が悪い、マスコミが悪い…雅子さまは、決して皇族が使ってはいけない剣を、
ひたすら振り下ろし続けた。
が、今回ばかりはとうとう、ばくだんいわで巻物を焼いてしまったようだ。
すでに「キャリアウーマン」のメッキは剥がれただろう。
私も働く女性であるが、あのように権利ばかりを主張し、とことんマイペースで動き、責任を他に押し付けるような女性を働く女性の象徴のように言われては迷惑だ。かえって女性の社会進出の妨げになり、差別を助長する勢い。
病気という聖域の巻物も危うい。
本物の欝や適応障害の人からも、怒りの声が飛び出している。
きちんとした医師の見解や治療の方針も見せないまま、ただ見守れ、というご本人の手による「医師団見解文」は、誰からも理解を得られないだろう。週刊新潮などはとうとう、独自に「医師の見解」を出してきた。
「ディスチミア症候群」
自省で自分を追い詰める普通の欝と違い、こちらはひたすら他罰的で、自分の責任はまったく感じず、権利を主張し好きなことだけをやりたがり、嫌いなことは頑としてやらない。
まあ私のことかしら!と思ってしまったw
投薬などで治るものではなく、自分を見つめなおし、自分が変わらなくてはいけないんだ、というところに行き着かなければ改まることはない。
ああ、自分も「このままではダメだ」と自覚するまで本当にダメだった気がする。
それこそ周囲全てに批判されるとか、完全孤立とか、餓死寸前とか、そのくらいまで追い詰められでもしなければ、「治る」ものではないのだ。
息子のことも、昔臨床心理士さんに「この子は、『困る』ことができないんですね」と言われた。
なまじ能力があり、罰を与えられてもそれを受け止められず、勝手に解決してしまい、自省することがない。
だから、社会に適応できない…
ちょっと荒療治ではあったが、15歳でバイトをさせて正解だった。
親から離れ、他人から叱責されるのが、何よりの薬だった。
そんなの、別に病気とかなんとかではなく当たり前のことだけど。
そういえば、私の旧い友人も典型的なアスペルガーだが、「挫折は、早いほうがいい」が口癖だった。
猛烈に頭のよかった彼は、10代でアスペルガーらしい「犯罪」を犯してしまい、全てを失ったのだった。
社会に出てからも、いろいろあった。
が、そうやって自省の機会があったからこそ、やり直せた、というのである。
48歳というのはずいぶん遅きに失したような気もするが、あのような恫喝文などに臆せず、マスコミにはさらなる雅子さまへの諫言を期待する。
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