学ぼう「男系・女系」と「皇統」
女性宮家 という案が、現政権下で異常な速度で進められている。
大震災から一年、復興もまだまだ、日本経済も明日が見えないという時に、なぜこんなことを急いでいるのか甚だ疑問。
で、藤村官房長官がこのことについて質問され、男系と女系について説明できずしどろもどろになるということもあった。
blog.livedoor.jp/seiji2ch/archives/4090016.html
わかっていないのか、わかるようにしては困るのか。
私も含めて、戦後に生まれた日本人は、天皇とは何か、皇統とは何かということをほとんど知らされない教育を受けてきた。
私などは、昔は女性天皇もいたのに、今の皇室は女性が天皇になるのを禁じている、差別だ、などと散々教わった。
戦争の象徴・天皇!平和の象徴が女性!
というような論調で教え込まれてきた。
それが果たして真実なのか?
☆ ☆ ☆
藤村官房長官を笑っている場合ではない。
「男系」とか「女系」とか、まず学校では習うこともない言葉。
それについて説明できる日本人は、正直言って少数だと思っている。
だから、日本人のほとんどがそれを理解していない間に、「男女平等だ~!」「陛下が忙しくて大変だ~!」と感情論で煽り、「女性宮家」という道を民主党は拓こうとしているのだ。
【第一問】
男系っていうのは天皇の直系の男子ですか?
×
うん、全然違います。
男系というのは、父親を辿れば天皇に行き着く血筋の人。
お父さんが皇族、と言っても差し支えないくらいです。
今現在、大正天皇系の三笠宮系の宮家も含めて男女22人の皇族方がいらっしゃいますが、それは入内で入ってこられた妃殿下方を除き、皇室にお生まれの方はいずれも「男系」です。傍系でも、女性でも、「男系」です。
今現在皇室にいらっしゃらないけれど、「男系」の血筋をお持ちの方もいらっしゃいます。
【第二問】
女性天皇の子である天智天皇と、元正天皇は、女系天皇ですよね?
母天皇から継承したのだから。
×
違います。
これには漫画家の小林よしのりさんもひっかかり、大いに名を落としてしまったが、男系・女系というのはそういうものではない。
天智天皇は、父が舒明天皇、元正天皇は父が草壁皇子。
どちらも「男系」であり、その資格で天皇候補になりえる。
これまで認められる歴代天皇、すべてが「男系」です。
というより、天皇は皇族の中からしか選ばれません。
そして、皇族そのものが「男系」なので、女系天皇などは存在し得ません。
【第三問】
古代は女系も大事だったんですよね!
女性天皇もたくさんいた。
その時代に戻ればいいじゃないですか。
男女平等ですよ!
△
奈良時代は、たしかに女帝と直系の時代でした。
聖武天皇まで、たしかに女系も重要で、数多の皇子の中でも天皇候補になれるのはそれなりの血筋の母親…ぶっちゃけ父も母も皇族というくらいのステータス。
そして必要なのは、血筋正しい皇族の妻を持ち、皇后に出来ること。
血統の正しさを追求すれば、まことにそれこそが正しい皇統だったかもしれません。
が、その理想の血を保とうと思えば、当然近親婚になります。
日本の礎を築いた素晴らしい女性・持統天皇は叔父にあたる天武天皇の妻で、その息子の妻に選んだのは、自分の妹でも従姉妹でもあるという阿閉皇女(元明天皇)。
現代で、こういうことを強要しますかと…
また当時は、皇女の配偶者は皇族に限られていました。
平安時代に入って「降嫁」という手段ができ、皇女の婚姻の幅は多少広がりましたが、「女帝の時代」は皇女の配偶者が皇族であるという前提で成立したもの。
もしも今、それを再現するとすれば、未婚の皇族男性はまだ幼児の悠仁親王殿下だけ。
30歳の彬子様から愛子様まで、結婚相手はこの方だけになってしまいます。
もちろん、未婚のまま天皇という立場に立たれることもあるでしょう。
女性天皇の場合、即位が決まった段階で生涯非婚が決定。
8人の女性天皇は、いずれもその原則を貫かれてます。推古から元明天皇までは、即位前に皇族の御子をお生みです。
【第四問】
西洋では女王が配偶者を持ったり、いろいろなんだから日本もそうしていいのでは?
×
西洋の王家と、日本の皇室はまるで違います。
あちらでは、王はただの統治者です。
王位を授かるというのは、財産を受け継ぐことです。
そりゃあ、女性も継げなくちゃ、男女差別ってもんです。
ロシアのエカテリーナ女帝なんか、ロシアの血を一滴も持たない女性だけど、
有能で、国を潤わせ発展させることに成功した。
だから、それでいい。
よその国の文化に文句はいいません。
日本の天皇とは、独裁者でも支配者でもなく、
祭祀王という性格を持つ。
神の子孫であることが第一の条件で、それは不可侵。
たとえ織田信長がどんなに有能で天下統一を成し遂げたとしても
天皇に成り代わることはできない。
皇統とは、そういうものです。
西洋や中国の王は、無能だとか悪逆ならすぐに滅んで、新たな王朝を迎えるもの。
日本の皇統はそういうものではない。
男系の血筋を持たない者には絶対に手が届かず、逆にその血筋の者には大きな義務を負わせる、というのが皇統。
で、そうやって2000年も守られてきた皇統(=男系)を、さらっと否定できる…
道鏡も織田信長もできなかった、
徳川家康も手を出せなかった…
そういう聖域に手を出せる、それが「女性宮家」案。
まあ、軽く「誰でも日本を乗っ取れる」策です。
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