飛ぶための肉
今日は八丈島のトビウオを1尾398円で手に入れた。
夜、捌いて刺身にした。
トビウオは、淡白な白身魚だが、少々クセもあるので、そのままよりも胡麻ダレ合えなどの方が美味い。
我が家では生野菜と一緒にサラダ感覚でいただくことが多い。
長い長い胸びれを外して、アラ汁の下ごしらえをしながら、ふと思う。
…この魚、数百メートル、飛ぶんだよなあ…
この淡白な白身筋肉で跳ね上がり、長い胸びれを広げて…正しくは滑空で数百メートル飛ぶ。
だから、トビウオ。
よく考えたら、こんなに飛べる生物の肉を食べることって、平凡な家庭にはないんじゃないか。
普通に口にする鶏や合鴨だって、そんなには飛べない。
飛べずに美味い肉を産するように、作られているからだ。
ニワトリは飛べない
と信じていたのに、小学生のいきものがかりの時、小屋から逃げた鶏が、3メートルくらい飛んで逃げて「ウソじゃないか><!」とべそをかいたのは懐かしい思い出だが、ずっと人間に改良され、小屋に閉じ込められていた鶏の「意地」が、あの3メートルほどなのだろう。
が、トビウオは、翔く翼もないのに数百メートル飛ぶ。
敵から逃れるには、十分すぎる。小学生や先生など、とても追いかけられないだろう。
そんな凄い生物が、食卓に乗る。
あー練ゴマを切らしていた。
今日はオリーブオイルでも使うかー
と、ふと四半世紀程前に銀座で食べた「中華風刺身」を思い出した。
イシダイなどの白身魚の刺身を生野菜のサラダの上にのせ、軽く塩コショウ、ピーナッツオイルに荒く刻んだナッツ、揚げたスナックを散らして混ぜる。味の決めては香菜(シャンツァイ)。
野菜やナッツなどと一緒に食べると、これはまさに食感と香りのハーモニー。
海原雄山はこれを嫌っていたようだが(笑)、同じく「えーこんなイシダイなんて、わさびと醤油でシンプルに食べた方が…」と、まぜまぜされるのを眉を潜めていた私も、口に入れたら
「これはこれで」と病みつきになってしまった。
イシダイなどとてもじゃないけど買えないし、私が買える真鯛は養殖で脂が乗りすぎている。
トビウオは、安くていい感じの白身。
何より、この「飛ぶ」パワーをいただきたいもの。
次はぜひ、試してみよう。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント