今年改めて読みたい「天顕祭」
何度見たかわからないのに、「風の谷のナウシカ」テレビ放送を見た。
誰もがそう思っただろうけど、大震災と放射能禍のあとではいっそう重く、深く思える。
私たちは、この世界に来てしまったんだね。
☆
「WOMBS」熱が止まらない。
3巻発行からずっと、なんどもなんども読み返し、その世界に酔っている。
先日、古本市にふらりと行くと、白井弓子さんメジャーデビュー作の「天顕祭」が、100円で売られているではないか。
この作品も素晴らしいのだけど、合わない人の手元にあってもしょうがない。
自分も本を持っているのにも関わらず「てんけんさいください!」と100円を出した。
「…よく知ってますね」
と、売り子男性に言われた。
「ええ、大好きなんです。この間も、この作者のサイン欲しくて出かけたくらいに」
すると男性は、そばを歩いていていた女性を呼び寄せた。
「この人、これ好きなんだって」
「えええっ!」
この本を売りに出した女性も、この作品は気に入っているらしい。
「この人が今描いている作品、凄く面白いですよ~!」と「WOMBS」を教えたら、とても喜んでいた。
……ただ、この女性、リアル妊婦さんらしいと気づいてちょっと心配に……
経産婦の私には「こんな母親学級はイヤだ!w」的に楽しめた1巻も、その後の展開も面白くて仕方ないのだけど、妊娠中・育児中にはいろいろ厳しいから……
☆
さて、久しぶりにずっしりと重い「天顕祭」を手にし、読みふけった。
……多くの方が指摘しているようだが、…なに、この予言作品…><
「汚い戦争」の後、フカシ(放射能)で汚染された地に竹が生え、汚れを吸い上げ大地を浄化する…
そんな設定は、「風の谷のナウシカ」を想起させた。
ただ、世界は昭和初期の日本のようなもので、古事記に描かれるヤマタノオロチとスサノオ、クシナダの神話をベースにしたものだ。
今年は古事記編纂1300年の記念の年。
島根県なども、石見神楽を中心に盛り上がっている。
ちょうど、なんとなくその石見神楽の「大蛇」を鑑賞して感銘を受けたところだ。
その石見神楽「大蛇」も、天顕祭にしっかり描かれているではないか。
…どういうパラレル・ワールドなのかは私には測りかねるが、「天顕祭」の世界は、たしかにその世界の延長であり、まったく悲しいことに、今の日本でもある。
本当に、竹って「フカシ」を吸うんだねえ…
ホットスポットと呼ばれるこの地は、もう新鮮なたけのこが「食べられないもの」になったよ。
四半世紀程前にアジアで見た、竹で出来た足場でちょっとしたビルを建てる様子や、もやもやとした郷愁的な感覚で面白く感じていたこの作品だけど、今読み返すと「なにこの予言書」というくらいの重さを感じる。
そして、自分で運命を選び、切り開いていこうという主人公が、また眩しいのだ。
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コメント
知能レベルの高い方ですね・・
風の谷のナウシカに共感を持っています
天顕祭とは・・
初め聞きます。
教えていただければ・・・
投稿: uncleken | 2012年6月 8日 (金) 11時27分
unclekeさん、ようこそ~!
「天顕祭」はサンクチュアリ出版から880円で発売されてます。古本屋でも結構見かけますが(^^ゞ
読み応えありますよ。
新作の「WOMBS」も凄い作品です!白井弓子さんはかなり気になる漫画家さんです。
投稿: 闇鍋奉行 | 2012年6月13日 (水) 22時46分