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2012年8月 5日 (日)

闘う母親たち~おおかみこどもの母親~

残念ながら、哺乳類は子殺しをする生き物である。

乳を与え、かいがいしく世話をする生き物である反面、育児には大変な労力を要するため、母親がそう判断すれば育児を中止し、子を殺す。
有名なのはライオンだが、ボスが交代すると旧ボスの子は殺され、メスの発情を促し、新しい子を作る。
人間もまた同じで、何らかの事情で男と別れ、新しい男とつがった場合、もちろんすべてではないが痛ましい結果になり、よく報道される。
母親が母性を優先するとは限らない。
利己的な理由を優先すれば、昔の男との子は邪魔であり、新しい男と共同で子を追い詰め、最悪の場合しに至らしめる。

人間と言っても、哺乳類の一種。
理性が勝つとは限らないのだ…

なんていうことを、「おおかみこどもの雨と雪」を見ながら考えていた。

主人公の花は、一見ふわふわ可愛らしいが、まことに理性的で、精神的に自立した女性である。

それと対照的なのが、雪が狼の本性を出し、大怪我をさせてしまう同級生・草平の母だ。

謝る花に対し、謝ってすむのか、全財産を処分しても…というような言い方で責め立てる母親。
子どもへの愛ゆえ…というよりは、自分の所有物を傷つけられて、過当な請求をするように見える人物だ。
なかなか美人で垢抜けているが…子を愛するようでいて、どこか自己本位な女性である。

終盤、彼女はどうも再婚?をしたらしく、すでに妊娠もしている、という話が出てくる。
そして草平は、母親について「俺はもう要らないって」と雪に告白するのだ。

…それが、何かの親子喧嘩で突発的に言ってしまったのか、多感な時期の草平が、そう感じ取ったのかは作中ではわからない。
もっと幼ければ、本当に殺されたり、母の里に追いやられたりしてしまうかもしれない不安定な状況で、彼は「早く大人になりたい」と願う。

花はさほど美人ではないし、社交的な性格でもない。ただひたすらコツコツと勉強し、難しい子どもたち2人を一人で育てる。「彼」にも頼り切ることはなかったし、誰かに過剰に依存しようとはしない。

やんちゃで目が離せない子と
ひ弱で手が離せない子

そんな年子を、一人で育てるのはただでさえきつい。
「秘密」があるので、近所やママ友などとも疎遠になってしまう。
田舎にいけばなんとかなるというものでもなく、苦労のし通しだったが、黙々と自立しようとする様子が村の頑固じいさんに認められ、徐々に親子の居場所を作っていく。

母親として

どうあるべきか、というようなことを突きつけられる映画だった。

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コメント

たった十数年しかこどもと一緒にいれなくてそれでも自分のもとを巣立って自立してくれたことにひたすら感謝と喜びをかんじている花はすごいです(ρ_;)こどもが生きがいになってもおかしくないくらいいろいろあったのに…
やっぱり好きなことを仕事にしたのがよかったのでしょうかね

投稿: ぼん | 2012年8月13日 (月) 07時58分

ぼんさんようこそ~!

子どもが小さい頃は、「いつになったら昔のように自由になれるの~!」と思うくらい辛いけど、小学校高学年あたりは、思春期前の静けさでw特に男子は可愛くて仕方ないでしょうに…まして、死んだ「彼」に面差しが似てきて、でもまだまだ細っこくて、自分が支えてあげないと…と思う頃に巣立つのを受け入れるの、辛かったでしょうね。
アニメとしては珍しい母子家庭モノで、子どもたちの成長と、花の生き方を見られる、いい映画でしたね~

投稿: 闇鍋奉行 | 2012年8月13日 (月) 23時28分

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