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2013年4月20日 (土)

母性は、利己的なものである

有名なマリー・アントワネットの肖像画のなかに、愛らしい子どもたちと共に描かれたものがある。

あれは、贅沢や気ままな行動を批判され始めていた王妃が、可愛い王子・王女を愛する心優しい母親像をアピールするための、プロパガンダ絵画なのだそうだ。

しかし、そんな努力も空しく、王妃への批判は止まることを知らず、あのような結末になった。

王妃は、何を間違ったのか?

マリー・アントワネットは、結婚以来、堅苦しくプライバシーのないフランス王室になじめず、王太子の問題もあってなかなか子どもも産めず、夜遊びや派手な遊興、一部のお気に入りを重用して人気に陰りが出来ていた。
若くして王妃となり、母マリアテレジアも亡くなってからは諫言する人もいなくなり、夫の国王も奔放なマリーに何も言わない。

ようやく出産、王女に続き王太子も生まれると、さすがに派手な夜遊びもなくなったが、今度は離宮プチ・トリアノンにこもり、のどかな田園の中で愛する子どもたちとわずかなお気に入りと楽しく過ごすようになった。王妃の義務である謁見や、社交の場から遠ざかり、街に出ることもなく、貴族や国民の声を聞くことなく悪評が募る。
そこで、母性アピールだ。

日本の皇室とヨーロッパの王家はまるで違うものではあるが、人の上に立つ存在の責任の重さは同じだろう。
公平無私、自己の感情に流されることなく国家のために必要なことをする。

それを怠ったから、マリー・アントワネットは憎まれたのだ。

母性は、利己的なものである。
自分の子が可愛い、自分の子のためならなんでもする、というのは多くの動物でも当たり前に持ち合わせる感情で、結局は自分の遺伝子を残したいという本能に基づくもの。
尊くもなんともなく、実は自己愛の延長、利己的な行動なのである。

フランス革命の責任が彼女にあるわけではないが、憎むべき象徴として批判されたときに母性愛をアピールというのは的外れだった。
王妃が守るべきものは国家であって、可愛いうちの子と楽しく過ごす日々ではない。

変に情に訴えても、本来の役割を理解せず、自覚なし、という評価が加速しただけ。それに誰もがあのように着飾ってのんびり子どもと遊んでいられるわけではない。
あの絵を全国民が見ることもなかっただろうが、もしも当時テレビでもあって「これが最近の王妃様」と見せられたら、戦争や凶作で疲弊した国民は殺意を覚えただろう。

雅子様のオランダ御訪問珍騒動についてはもう、あきれ果ててしまった。

外戚の思うが侭、正式な手順を踏まず、相変わらずマイペースで無理やりオランダ行きを決めた直後、行われた園遊会には御欠席だった。

「オランダに行けて、庭先で国民に会うことは出来ないのか」という批判の声が噴出すると、昨日東宮大夫が「愛子様が15日からインフルエンザに罹っており、雅子様は看病されている」と発表した。

……2月にもインフルエンザに罹られたばかりなのに……なぜこんなにいつもタイミングよく病気になられるのか…と驚くとともに、それを園遊会欠席の言い訳にし、またも愛子様を盾にして、「育児に一生懸命な母親像」を訴えているのに、うんざりした。

何のために、大勢の職員や養育係がいるのだろう?
こういうときに、皇太子殿下や皇太子妃殿下の手を煩わせず、安心して公務に励んでいただくためではないのか?

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2013年4月 7日 (日)

名前なき東宮職医師団とは?~責任の行方~

スキーに向かう皇太子ご一家に東京駅で男性が罵声浴びせる

http://www.news-postseven.com/archives/20130405_180736.html

こんなショッキングな記事が話題になった。
3月下旬、皇太子御一家恒例の春スキーへのおでましの移動途中、東京駅で60代の男性が
「仮病・サボりの税金泥棒!皇室から出て行け!」
と声をかけたというのだ。

国民の怒り、ついにここまできた。



ご成婚から今年で20年。「病気療養」に入られてから10年。
私も、正直雅子様のお病気と言うのがなんなのか、さっぱりわからないが、仮にも日本の皇太子妃がこのように言われるとは、由々しき事態である。宮内庁及び東宮職には猛省していただき、二度とこのようなことのないようにしていただきたいものだ。

で、まずは責任の所在をはっきりさせよう。

これまで療養生活にあった雅子様は、「お医者様」の指示に従い行動を決めてこられた。
皇太子妃としては休むわけにいかない公務は、この医師の判断で休み続けている。
一方、皇太子妃がおいそれとやってはいけないようなこと……レストランでの食べ歩きやスキーなどのレジャー、不登校の愛子様の付き添いなどは医師の勧めもあって行われている。
皇太子殿下も、妃殿下も、「お医者様」も一様に徐々に回復している、温かい目で見守れ、患者のやりたいことをやらせて私的なことから活動できれば、という。

その結果が、これだ。
心を病んだら、本人も家族も辛いもの。まずは早く治ってほしいものだが、そんなに簡単に治るようなものではないのも事実である。
では、何を目指すか、どこを到達地点として治療を進めるか。
まあ、すぐに元通り元気になんていうのは無理だとしても、例えば自殺や他殺、世間に後ろめたいことのないように、ということを、家族や本人は願うのではないだろうか。

雅子妃の場合、ちゃんと療養して人前に出ない範疇で好きなことをなさるのならまだよかった。

常軌を逸した行動を国民に晒し、そのたびに両陛下でもありえないような税金を使い、気まぐれな行動で渋滞を引き起こすtろいうのが雅子様の治療に役立つ、などと言われても、国民が眉をひそめるのでは意味が無い。
例えば「うちの引きこもり息子は暴力的で、外に出したら幼女にいたずらをしようとするんです、そのうち殺人でも起こさないかと…」という患者の家族に「患者の好きなようにさせなさい、回復にはプラスになるでしょう」と医師がアドバイスするだろうか?
そうならないように、医師に頼っているんじゃないのか?

レジャーにしてもいちいち国民を締め出して手を振ってにこにこしていれば、反感を買うのは当たり前だ。
皇太子妃としての活動も、いっそ完全にやめておけばまだよかったのに、「関心がおありで」で出ておいでだった。そういうことは、逆に言えば「休んだ公務には関心が無い」と公言したも同然で、皇太子妃に袖にされたり振り回された自治体や関係者は、唇を噛むしかない。
そういったことの判断を「お医者様」に委ね、結果的に皇太子妃への怨嗟を産んだのなら、これは当然その医師の責任だ。
こういうことのないように、患者の行動を決めるべきだっただろう。

なお、両陛下がご病気で公務を休まれる場合、ちゃんと医師団が会見を開き、具体的な病名を説明した上で国民の理解を得る。
癌や心臓病など、まことにデリケートな判断が要求される場面でも、医師はきちんとこれが最善の策である、と説明し、そのとおりの結果を出してきた。
当たり前だが、あそこまで具体的に病状や快復までの見込みが出た上で公務を休まれても誰も不満など言わない。そして快復されると、両陛下は休んでしまった相手になにかしらフォローもなさる。
皇室と国民の間には、たしかに相互の紐帯と敬愛があり、信頼関係がある。

それが、雅子妃に限って全く行われず、結果的に雅子妃にこんな声が直接かけられるという事態を招いてしまったのだ。

毎年雅子様の誕生日に発表される「東宮職医師団見解文」は、宮内庁の公式文書扱いをされるのに、医師の署名がない。
会見が開かれたこともない。
雅子様の主治医と言われる大野裕氏だが、正式に東宮付きの医師に任命されたわけではないし、かつては密室に妃殿下と数時間こもるとか、日付が変わるまで話し込まれるとか、平常とは思えない密接な関係を報じられたが、最近は会うこともほとんどないという。
ちょうど愛子様のいじめ騒動がおきる直前、平成21年のお誕生日には、見解文が出されず、年をまたいで2月にそれが出された。このときの文章は、まだ半分くらいは医師らしいことが書かれていたが、雅子様の御意向が大変に反映されたとかで、治療のために公務を伴わない海外訪問が必要、と書かれていた。
以降の見解文からは、医学的見解が一切消えた。
お題目のように妃殿下は徐々に快復なさっている、私的な活動が広がっている、温かく見守れ、と医師が書いたとは思えない稚拙な文体でくどくどと書かれる。
強い口調でマスコミ批判をした見解文もあった。これについては報道側が激怒し、問い詰めたが、結局医師の姿は見られなかった。
この見解文で、ますます妃殿下と記者たちの関係は悪化したし、国民も疑問を持つようになってきた。

そしてこの事態だ。

さすがにもう、匿名の医師がやれといいましたから、では済まされない。
東宮職は、雅子様の名誉を守らなかった医師の責任を追及し、会見をさせるべきだ。
このやたらくどい文章を書いた主は、誰なのだ!

今また、皇太子ご夫妻のオランダご訪問が検討されているというニュースもあった。
今でも雅子様は皇居奉仕団に会うこともできぬほどのご病状のはずだし、これでオランダには元気一杯で行けるなんてことになれば「仮病!」「外国かぶれ!」などの怒号が飛び、もはや妃殿下と国民の関係修復は不可能だと思うが、さて、「お医者様」は、きちんと会見で誰もが納得する説明が出来るだろうか。

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