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2013年8月10日 (土)

人類は「G」と闘えるか

今日は日本の一番暑い日となったらしい。

バイトから帰って来た娘が、何やらきゃあきゃあ騒いで私を呼ぶ。

なんだろう、テレビで娘の好きなヤスチンでも出たか、とのんびり部屋に行くと、部屋を何か黒いものが旋回し、娘が涙目で助けを呼んでいた……
娘よ、それはゴキブリというものだ。

今年、我が家では大きなのの目撃例が多く、ちょこまかとホイホイやら氷属性攻撃やらで退治してはいたが、なにせ一匹見かけたら30匹はいるという最強生物である。ただでさえ寝室でいろいろ食い散らかす子どもらとこの暑さでは、巨大化くらいはするだろうし、飛びもするだろう。

「はい」
と、私は新聞紙を丸めたものを娘に渡した。
「えっ無理無理無理無理。だって、飛んでるんだよ?」
「ママなんか年だし、とろいし、あんたの方が手足長くていいでしょうが」
「いやいやいやいや!怖いし!飛んでるし!」



最近また、スタートレックが映画化だそうだが、私と夫は
「私、ミスタースポックに似ていると言われるんだわ」
「俺もだわ」
ということで、第二次スタトレブームの頃に愛を育んだのが我が家である。
スポック同士の子なのだから、未来にはスポック一家が出来るものと思っていた。実際、息子は見事にスポック顔・スポック性格だった。
もしも今、この三人で歩いているのを見たら、誰もが吹き出すに違いない。
息子も反抗期真っ盛りの頃、顔を洗って鏡を見ると、「むかつく顔がそこにある」と言っていたほどだ。
しかし、娘は全然違う顔立ちだった。
なんというか……ピグモンの顔がワンピースのナミの身体を手に入れたような。

「家族に似ていない」というのは彼女にとってコンプレックスなようだったが、子どもの頃からろくに会ってもいなかったパパに、一番近い道を歩んでいるのも彼女である。

「だってあいつら飛ぶのよっ飛ぶのよっ」
朴訥とした性格で、ふだんは低音ボイスでゆったりと話す夫だが、ゴキブリが出るとおねえになった。
「ううん、嫌いなんじゃないのっこわいのっ」

……中学くらいから男装してタチっぽいキャラクターの娘もまた、ゴキブリの前ではいや~~~ん!と助けを求める。
こんなことで、ああやっぱり親子だなあと確認するなんて。



で、でかくて飛んで隠れまくるエネミーを仕留めることもできないまま、なんとなく娘と話した。
娘はいう。
「ゴキブリって、自分が『飛べる』とは思ってないらしいよ」

ほお。
「飛べるとは思ってないのに、人間に襲われるとかで、とっさに飛んで、自分が飛べることを知るんだって、その瞬間のゴキブリって、IQ200を越えるらしいよ?」

ほおお。それは面白いな。
「それで一本、小説でも書けるんじゃないの?」
「書けるかもねー 実際、IQ200の相手に、勝てる気がしない」
「『僕の父さんは、空を飛んだんだ。…だけどみんな、父さんを嘘つき呼ばわりした。だから僕はきっと空を飛ぼうと思ったんだ』」
「ちょ!天空の城じゃねえ!!!w」

人類は、かつて放射能を吐く怪獣や放射能を打ち込む宇宙人らと戦ってきた。
残酷な天使やら、巨人やら、圧倒的な力にも対抗してきた。
あのゴキブリ程度に勝てなくてどうするのだろうか。

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