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2015年7月24日 (金)

バケモノの子を見てきたよ(ネタバレあり)

今日は関東の天候が大荒れだったようだ。

あちらこちらでゲリラ豪雨、その名のとおり「谷」地形の渋谷は青山あたりの雨も集めて、とくに地下鉄が水浸しという大変なことに。
で、その渋谷が舞台の映画「バケモノの子」を今日、一人で見に行った。

実に、魅力的な映画であった。

異世界は美しく哲学的で、熊徹を中心とするアクション描写も見事。
細田作品ならではのモブ描写、音響の素晴らしさも含めて、映画館での鑑賞をお勧めしたい。渋谷スクランブル交差点や、バケモノたちの蠢く世界を表現しようという狂気に近い創造力には圧倒されるはずだ。(ついでに、リアル過ぎる街描写…)
「千と千尋の神隠し」的な異世界での成長物語のように見えて、異世界・現実世界の描写はさらに深く、「ベスト・キッド」的な師匠モノかと思うと意外や意外、少年以上にお師匠様が学び成長することが多く、どちらが「師」なのかわからない、互いに主導権を握るバトルがコミカルに描かれるのが肝でもある。

親を失った少年は、バケモノである熊徹との関わりで父性に触れ、常にマイペースだった熊徹は、自分の過去を埋めながら父性を育て、そして少年の実の父親は、まったく平凡に生きながら無条件で少年を受け入れ、失われた時間を取り戻そうとする。
「おおかみこども」と妙に似た世界を感じながら、描かれているのは母性よりも父性である。
…とうっとり見ていたのはいいのだけど…
少年が人間世界の「渋谷」に舞い戻ってから、ちょっとつらい。
なぜ彼が図書館に行ったのか、なぜメルビルの「白鯨」を手にとり、これを読むことに固執したのかが、まったくわからない。(あのクライマックスへの伏線なのはわかるけど、無理やり過ぎ)

で、あのヒロインはなんなんだw

「おおかみこども」の花ちゃんのように勤勉なお嬢さんなのはわかるけど……いちいち「何????」としか感じない。
まったく魅力を感じさせないまま、物語はクライマックスに。
渋谷大惨事。
ヒロインは主人公の手をとり地下へ。
…今日も豪雨でえらい目にあったけど、あそこで地下はまったく安全地帯ではない。
水も、火も怖い場所である。
というか、逃げていい立場じゃない主人公。
で、何???と思ったら、地下鉄副都心線に乗ったらしい。
…私はこれには乗ったことがないが、渋谷~明治神宮(原宿)間は大変近く、普通は徒歩で行ける距離。
センター街をぶらり、スペイン坂(熊徹の家周囲は、スペイン坂の傾斜に似ているね)を冷やかしながら公園通りを歩けば、もうすぐそこは代々木の国立競技場エリア。
渋谷の街を見せつつ敵を被害の少ない場に誘導するのならこのルートだろう。
言っちゃなんだが、あの状況で地下鉄に乗って、座って、まったり自分語りするってどういう神経…いや座って一息ついたと思ったら、すぐ駅アナウンスで話もできないよ。
というか、あの状況なら都区内を中心にすぐ交通マヒだよ…あてにできないルートだよ…
まだ、唱歌「春の小川」のモデルになった渋谷川跡地ルートをひた走った方がましだったよ…
で、主人公と同じく(自粛)なボスキャラが、あの本を読んで鯨モンスターに…いや、鯨はとても美しかったけど、どう見てもそこ(渋谷を泳ぐ鯨)に持っていくためのこじつけにしか思えなかった…
主人公とヒロインの出会いも含めて。
で、ヒロインはいちいち物語にブレーキをかけながら、何がしたいのだかよくわからないままお話が終わる。
……いっそ、ウエットな部分をすっぱり切って、主人公に学歴をつけさせたい、あたしが先生になったげる!というだけの痛いにぎやかキャラの方がテンポよく面白かったかもしれない…
いやいっそ、ヒロインの存在そのものが不要だったように思う。
…まあ、映画を作るのも様々な事情が絡むし、キャストやストーリーも好きなようにはできないよね…


それにしても…キングダムハーツプレイヤーには、途中から「ハートレス??」「心の闇が???」「あ。やっぱりこの声の人がラスボスw」
でした…orz

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2015年7月 9日 (木)

「バケモノの子」を、娘が略す

「サマーウォーズ」も「おおかみこどもの雨と雪」も、娘と一緒に映画館で見た。

ついでに、「デジモンアドベンチャーぼくらのウォーゲーム」も、昔一緒に見に行った。
さて、そんな細田守監督作品最新作「バケモノの子」があさって公開。
どうするかな?予定は合うのかな? と、娘に聞いてみた。

「バケモノの子、どうする?」
「バケ子?」

……そう略すの???

「サマーウォーズは、サマウォって言うけど…」
「サーズ」

…なんか、病気っぽくなったぞ???

「そういえば、おおかみこどもって、略さないよねえ…あめゆき、とか言わない」
「雨と雪の女王」

微妙に別の作品になってるじゃん…

「おかこ」「おお雨」「おお雪」「こ雪」

いやいや、どれも原型がわからんw

「まあとにかくどうする?一緒に見に行く?」
「ケモノの子?」
「いや、バは譲れん」
「バ子?」
「いやもういいから、いつ見に行く?」
「今日これから行く?」

まだやってへんわー!

どうもありがとうございましたー!

って、なんでいつも漫才みたいな会話になるんだー!

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2015年7月 5日 (日)

「天皇の料理番」を平成生まれと楽しむ

久々に、親子でおおはまりのドラマである。

主演の佐藤健さん、影の主役である妻役の黒木華さん、命がけの役作りの変態仮面こと鈴木亮平さんという若手はもちろん、郷ひろみさん、佐藤蛾次郎さん、高岡早紀さんなど大ベテランから中堅まで、キャスティングが絶妙、脚本も構成も素晴しく、激動の明治から昭和の物語を楽しんでいる。
特に二人して萌え萌えなのが、主人公の妻役の俊子こと黒木華さん!
今時の女優さんとしては地味な顔立ちながら、圧倒的な演技力と、健気ながらも男に都合のいいわけではない、まさに大和撫子、これぞ良妻賢母!というハマリ役で魅了する。
お兄やんの死を受けてか、二度目の結婚に至るプロポーズに俊子が答えたのが、
「私は、あなたより長生きしますから」
という、死亡フラグ満々の台詞であった。
実際、秋山の妻は結核で早世している。
今週は10分拡大で、その、秋山の妻の死を描く。
で、娘は俊子に「ええ妻や~!ヨメにしたい~」と萌え萌え。
いやあんたがこのような立派な女性になるという選択肢はないのか。
心臓病で命の灯が燃え尽きようとしている俊子。
秋山も、子ども達も、それを支えようとするのに、どんどんやつれていき、それでも微笑を絶やさず、大切なことを夫や子どもたちに伝える俊子。
もう、涙で画面が見えない…
という展開で、娘が言う。
「あなたより先に死ねないと約束したから、俊子が夫を殺すという展開は?」
ちゃちゃちゃーーーーん!ちゃーちゃーーー!♪
何その謎サスペンス展開?
それじゃ天皇の料理番の本編にいけないしw
美しい、あまりにも美しい夫婦のやりとりで視聴者のハンカチを濡らしつつ、俊子は逝った。
最愛の妻を亡くしながらも、宮中の御奉仕に勤める秋山。
「おおみやさまからの伝言です」と、秋山は手紙を受け取る。
「おおみやさまって?」と娘が聞く。
ああ、高貴な方々は、名前で申し上げることなど大変無礼で、源氏物語など200人ほどの登場人物のうち、本名が出ているのはほんの数人。主人公を含めて本名など出ていない。宮中やお公家さんなどはそういう世界。
先週、大正天皇の皇后・九条節子様を「宮様」と表現していた(正直、藤原氏の貞明皇后を皇族を指す宮様というのには抵抗があるのだけど)ので、大正天皇崩御後の時点でそう呼ばれるのは、おそらくその和久井映美さん演じる「節子皇后」だろう、と答えたら当たってた。
「そうかー近江屋かと思ったー」
「近江屋、そちも悪よのう」
って、なんでいきなり高貴な世界から時代劇の悪徳商人みたいなことになる…
でも、こういう「わからないこと」に若い世代が触れるのはとても大切なこと。

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2015年7月 1日 (水)

姿勢や所作は大事だよ

年をとればとるほど、出自や学歴などよりも、コミュニケーション能力や姿勢、所作がどれだけ大事なのかと感じる。

私自身、コミュ力がなく、テストで点をとることだけは得意だったのだけど、「それではダメだよ」と多くの人にきつく言われて育ったことをありがたく思っている。

どういう仕事、立場でも、姿勢や身だしなみで人が測られる。

会話術が巧みでなければ、どんな高学歴も偏差値も役にたたない。そんなものを出しても、馬鹿にされるだけだ。

「雅子様」というのは、それを教えられる機会を奪われたまま50代になってしまった「可哀想な人」である。

「背中、曲がってるよ」
何かにつけて、母は言ってくれた。
最近同世代と「昔は姿勢が悪いと、背中に竹尺入れられたよね(今じゃ虐待って言われるw)」と盛り上がった。
電車などで座っていても、女の子はひざを閉じなさいと言われた。なんでオトコは良くて、女はあれこれ言われなきゃいけないの、と反発もした。

だけど、小学生までうるさく言われたからそれなりにきちんとした姿勢を保てるし、特に頑張らなくても膝を閉じて座ることが出来る。

こういうのは、12歳くらいまでに身につけないと、後々きつくなるのだ。

小学校の朝礼で長く続く校長先生のお話に直立不動で聞かなくてはいけなかったことも、今となってはありがたい。

皇室は、偏差値だのブランド学歴だのとは程遠く、教育勅語に則った世界である。

まずは儀礼であり、祖先や親への感謝であり、学ぶことは履歴書を飾ることではなく、自己研鑽である。
そういうことを学べなかった雅子様が、皇室で軋轢を産むのは当然だ。世界や方向性が、あまりに違うのだ。…いや、正直言って、日本の…いや世界のどこでも、雅子様の論理は通用しないと思う。

能力だけは大変に高いといわれながら、不登校という道を選んだ息子。

私とさんざんバトルしただけに、社会で生き難くなることには、自己責任でやっている。
病気でリタイヤを余儀なくされ、ますます厳しくなった経歴…

一時期、糊口をしのぐバイトですら、なかなか採用通知をもらえなかった。超ブラックなところ以外w

このままでは引きこもり…ニートか、冗談じゃない!

というような状態で、息子と雑談をしていてちょっと気になったこと言ってみた。
息子は、楽しく話をしているのに、視線を右上に逸らす癖があった。
敬語は完璧、頭も良いし、手先は器用だし、筋力もあるし、いやな仕事を厭わないし、少なくとも私よりコミュ力あるし、接した人から「今時こんな好青年がいるのか!」と絶賛されることもあるのに。

「そういう風に視線を逸らすと、『嘘をついている』と思われるよ。相手の目を見るのが基本だし、視線を逸らすのなら、下にするといいよ」
息子は、とても納得したようだった。

それを意識していくつか面接をしたら、採用の嵐!
お断りすることに悩む事態になった。
学歴的にはゼロに等しい不登校引きこもりだけど、正社員として育ててもらえる立場になれた。
筋金入りの猫背の息子にもいろいろ言ったし、自分の失敗談も踏まえて社会常識を教えたし…
別に「ご立派」でなくていいけど、社会を構成する一員としてやっていけるように子を育てるのが、なんとか達成できたかな…

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