2011年12月18日 (日)

聖域の巻物

前回の日記で「聖域の巻物三段がさね」というフレーズを書いた。

一応解説すると、これはスーパーファミコンの名作ゲーム「トルネコ不思議なダンジョン」のネタである。

入るたびに中身が変わる、運次第のダンジョンをめぐるアドベンチャーRPG。ドラクエでおなじみの武器商人・トルネコが、知恵と勇気で立ち向かう、割りと頭脳派のゲームである。
が、そこはRPG。頑張ればいろいろ楽に冒険できるようには出来ていて、例えば自分の家の倉庫を大きくし、21階で拾える巻物を利用してなんども出入りを繰り返せば、武器屋防具を強化でき、さらにハラヘラズの指輪を装備すれば、もう楽勝!いつかは絶対にクリアできるし、楽しいダンジョン巡りができる

はずであるが。

「絶対」は絶対にないのがこのゲーム。

レベルも高く、武器は強い。ほくほくしながら歩いていて、恐ろしいのが、「ばくだんいわ」というモンスター。
こいつは、ある程度HPを減らすと動きが止まるが、それを超えると爆発してしまい、大ダメージを食らう。

私はそのとき、余裕余裕♪と思っていた。
それを下に置いて上に乗れば、モンスターは一切攻撃できない「聖域の巻物」というものを持っていたからだ。
これに乗っていれば、恐ろしいモンスターにいくら囲まれても経験値稼ぎの場になる。
私は、絶対安全な場所からモンスターを切りつけ、倒していった。
ここに居る限り、モンスターどもは手を出せず、周囲をくるくるとまわるばかりだ。
わっはっはっは、ざまあみろ!
ファンファーレの鳴り響くなか、ばくだんいわに囲まれた。

…何が起きたのか、にわかには理解できなかった。
鍛え上げられた剣が、1躰のばくだんいわを倒した。
爆発した。すると他のばくだんいわが誘爆した。

ゲームオーバー。

……自慢の装備も全て奪われ、ぽいっとダンジョンから放り出される私。

冷静に考えた。
ばくだんいわは、爆発すると周囲のアイテムも焼いてしまう。だから、モンスターもアイテムもいっぱいのモンスターハウスでは厄介である……で、自分の乗っていた聖域の巻物も、焼き払ったのだ。
自分は丸裸になり、他の爆発でHPが1になり……


聖域にあって、慢心した結果がこれか。


雅子さまも、皇族、女性、病気……という聖域の巻物の上に載っていらっしゃる。
絶対に批判されない安全圏から、これまでどれだけ周囲を攻撃されたことだろう。
諫言してくれる人は、去った。皇太子殿下の支えになるはずの人も、退けた。
学習院の児童を標的にしたことは、世界中で報道された。
国民が悪い、マスコミが悪い…雅子さまは、決して皇族が使ってはいけない剣を、
ひたすら振り下ろし続けた。

が、今回ばかりはとうとう、ばくだんいわで巻物を焼いてしまったようだ。
すでに「キャリアウーマン」のメッキは剥がれただろう。
私も働く女性であるが、あのように権利ばかりを主張し、とことんマイペースで動き、責任を他に押し付けるような女性を働く女性の象徴のように言われては迷惑だ。かえって女性の社会進出の妨げになり、差別を助長する勢い。

病気という聖域の巻物も危うい。
本物の欝や適応障害の人からも、怒りの声が飛び出している。
きちんとした医師の見解や治療の方針も見せないまま、ただ見守れ、というご本人の手による「医師団見解文」は、誰からも理解を得られないだろう。週刊新潮などはとうとう、独自に「医師の見解」を出してきた。

「ディスチミア症候群」

自省で自分を追い詰める普通の欝と違い、こちらはひたすら他罰的で、自分の責任はまったく感じず、権利を主張し好きなことだけをやりたがり、嫌いなことは頑としてやらない。

まあ私のことかしら!と思ってしまったw

投薬などで治るものではなく、自分を見つめなおし、自分が変わらなくてはいけないんだ、というところに行き着かなければ改まることはない。
ああ、自分も「このままではダメだ」と自覚するまで本当にダメだった気がする。
それこそ周囲全てに批判されるとか、完全孤立とか、餓死寸前とか、そのくらいまで追い詰められでもしなければ、「治る」ものではないのだ。
息子のことも、昔臨床心理士さんに「この子は、『困る』ことができないんですね」と言われた。
なまじ能力があり、罰を与えられてもそれを受け止められず、勝手に解決してしまい、自省することがない。

だから、社会に適応できない…

ちょっと荒療治ではあったが、15歳でバイトをさせて正解だった。
親から離れ、他人から叱責されるのが、何よりの薬だった。
そんなの、別に病気とかなんとかではなく当たり前のことだけど。

そういえば、私の旧い友人も典型的なアスペルガーだが、「挫折は、早いほうがいい」が口癖だった。
猛烈に頭のよかった彼は、10代でアスペルガーらしい「犯罪」を犯してしまい、全てを失ったのだった。
社会に出てからも、いろいろあった。
が、そうやって自省の機会があったからこそ、やり直せた、というのである。

48歳というのはずいぶん遅きに失したような気もするが、あのような恫喝文などに臆せず、マスコミにはさらなる雅子さまへの諫言を期待する。

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2011年4月26日 (火)

稼げるって素晴らしい

娘が何度も落ちた末に、ようやくバイトを始められた。
わずかではあるがお給料を得て、娘は私にヤフオクをねだってきた。
【送料無料】【smtb-u】【中古】PSソフト どきどきポヤッチオ【10P22Apr11】【画】


古いPSソフトなのだが、うっかり割ってしまったのだ。
ギャルゲーといえばギャルゲーだが、深い世界観とほのぼのとパン屋の手伝いと村人らとの交流にふける「夏休み」は、わくわくどきどき。子どもらもまだ小さかった頃だが、お試し版ではまってみんなで遊んだだけに思い出深い「場所」なのだ。
しかしこのソフトはマニア的な人気があって……というか、マイナーで(苦笑)今は中古でしか入手できず、その数も少ないのでめったにお目にかかれないし、ヤフオクなどでもほぼ定価、プレミアムがついてしまうレベルで、皆あきらめていたのだ。

「おかん、即決3000円!これ落札して!」
娘は、記念すべき初めてのバイト代を、これにつぎこもうというのだ。あれ、前に、壊れた行平鍋を買い換えてくれるとか言ってなかったっけ。

しかしまあ、娘も働くということを通して社会勉強をし、そして自分で稼いだ金で、自分の欲しいものを買う、という喜びに目覚めたようだ。よしよし。

息子であるが、先日頭を抱えていた。


NDS Solatorobo(ソラトロボ) それからCODAへ 通常版[バンダイナムコゲームス]《発売済・在庫品》 NDS Solatorobo(ソラトロボ) それからCODAへ 通常版[バンダイナムコゲームス]《発売済・在庫品》


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「あああああ、おかん、あと1個だってよ!」
これ、以前にも日記に書いたと思うが、もうとうに出たソフトだ。

やはりPSのカルト的名作「テイル・コンチェルト」の続編で、私も息子も発売が発表されたときには狂喜したものである。
…しかし、限定版も含めて発売されたとき、息子は失業していた。
多少の蓄えもほいほい使い果たし、もはや親の庇護の下で生きていくのがせいぜい、という状態。
「…ねえ。…限定版出るんだよぉ…」

暗に、私に買ってくれとせがむ。

私は、自身がゲーム好きということで、昔から「物分りのよい親」でありすぎた。

おねだりしなくても、ママがほいほい買ってくる、という環境で、息子は育ってしまったのだ。

ぬぅ… 限定版……
あの「テイル・コンチェルト」の続編…
ムービーだけでも見たいものだし、設定資料とかついていたら…ああ、あの可愛い獣人たち!
私もよだれをたらしそうになったが、…もちろん今の私なら、それを買うのは造作も無いことだが…

私は無視した。
ここで買ってあげてはいけない、と思った。

で、息子は、やはりかなり苦労しながらようやくバイトに受かり、私に月2万、父親に携帯代1万を収め、失業中にお世話になった方々にもお礼をしながら、残ったお金で、ネットであと1個だけあった限定版を、手に入れたのである。

今のバイトは4月までと宣言されてしょげていたが、本日もっといいバイトに採用された息子。
「おかんおかん」と、その限定版についていた特典映像などを見せてくれた。……ああ、かわええ…なんと素晴らしい世界観…映像作品として完成したら、もっともっとファンが増えそうだ。

…と、息子は「母親にゲーム映像を堪能させてあげる」ことに成功し、喜んでいるのである。
自分の力で手に入れることの大きな喜び。
親にいつまでも「食わせてやってる」と言わせない喜び。

10代後半の子に、それを身をもって味あわせるのが、親の務めなのである。

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2011年3月 3日 (木)

ディシディア012発売日! …に体験版orz

ついにディシディアの続編が出た! まだ、タイトルは正確に読めないがw

…が、先日息子に体験版にあたるプロログスをダウンロードしてもらい、やろうとしたが起動せず、アップグレードしてもらうやらなんやらで、結局ゲームを始めたのが今日。もう発売日なのに、体験版からみっちりやることになってしまった。…まあ、このところ外回りが少なくて、電車でゲームどころではなかったのだけど。

ストーリーモードは、なんとかクリア。…しかし、かつて半年、600時間もかけて100パーセントにしたというのに、すっかり指がなまり…というか、すっかり忘れている!
とりあえず、○ボタンを打ちつつブレイクを狙い、□ボタンで……コアが出てものこのこ走るし、セフィロスの「約束のチュー」という声が聞こえても避けられず、「えーと、どうするんだっけ????」と、完全初心者状態。

「どこを見ているんだ」
私がなー。
「悪くない戦いだ」
いや、残りHP2桁の最悪の戦いですが?

こんなにもみっともない戦いを繰り広げながら、とても強気なライトニングさん。
ううむ、これは本編を入れるまで大変そうだ!

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2011年2月22日 (火)

久々に息子とゲームトーク

最近いろいろあって、日記が書けない…ネタはいくらもあるのに。

さて、もうすぐディシディアの次のやつ(名前は、まだ覚えてない)が出る。

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ヴァンの声優交代は残念だったが、ユウナのまゆたんは復活の模様?もう、600時間かけて100パーセントにしたのが嘘の様に、操作も何も忘れているが、美しいあの懐かしいキャラクターのポスターを見ると心が躍る。

「まったく、スクエア信者はこれだから!」と笑う息子。

スクエア信者とは失礼な。

スクエアの奴隷に向かって。

なにやらスクエア商法も花盛りで、限定コスやらなんやら…でも、300円でダウンロード販売しているプロログスなる体験版を購入すると、アシスト専用キャラとしてエアリスが使えるそうで、……って、もう、ダウンロード販売とか、わけがわからないので、息子に泣きついた。

かつて、いろいろ難しい時期の息子の、普通なら2人で引き受ける
「うるせえくそおやじ!」と
「うるせえくそばばあ!」の両方を一人で引き受けて闘い続け、まったく不公平だと思ったが、今は息子の尊敬と愛情を得ている。ティーダとジェクトがぶつかるムービーを見て、そう思った。

「で、『キャサリン』ってなにか気になるんだけど」
「はああぁ?」

息子の怪訝な顔。息子はもっと前にこれすげえ、と話していたのに、私は右から左へ、だったようだ。

キャサリン(特典なし) Video Games キャサリン(特典なし)

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いやもう、最近はとんとゲーム売り場を通ることもないのだ。このゲーム、たしかにあちこちのアフィリで見かけていたけれど、そんなには気になっていなかったのに、たまたま久しぶりに訪れたゲーム売り場でムービーを見て、「おお、これは」と。

まだまだ自由を満喫していたい男に結婚を迫る恋人キャサリン。が、同じくキャサリンという名の女と一夜の過ちを……そこから男の悪夢が始まる!

という、まことにオトナ向けの内容で、あのペルソナスタッフだけあって、ビジュアルも内容も素晴らしく、いい意味で映画のようなわくわく感があるゲーム。久々だなあ、ゲームのプロモーションに胸が躍るの!

でしょ!でしょ!と息子。息子も今、一押しらしい。で、熱く語り合ったのだが、妙なことに気づいた。

息子はひたすら、この話が「怖い」という。
2人の女に恨まれ、「できちゃった♪」となれば赤ん坊の恐怖に追われる。

しかし私は、悲鳴をあげ逃げ惑う主人公の様子がまことに痛快で、笑えたのだ。もっともっと追い詰められ、苦しめばよい!と高らかに笑いたいくらい。しかし、恐らくそれではゲームがクリアできそうにない!

これは、一応男と女の視点の差か。

息子は、自室でひっそり楽しむようにX-BOX版の購入を考えていたが、私にも見せるためにPS3版を考えているという。

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2010年12月20日 (月)

念願の、ヴァン参戦!

ディシディアの続編で、カイン、ティファ、ラグナ、ヴァン、ライトニング参戦。

http://www.square-enix.co.jp/dissidia_012/

妥当なラインナップ。

ことに、仮にも主人公のはずなのに参戦できず、声とモーションを担当した武田航平君も残念がったFF12のヴァンにおめでとうと言いたい!

声優交代だそうだけど…ッ

…で、…私はこのソフト発表までにタイトルを覚えられるのかが心配だ。

なんで素直に、「ディシディア2」とか「続・ディシディア」とか「さらばディシディア」とかいうシンプルなタイトルにしないんだ……高齢者はつらい!

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2010年11月21日 (日)

もやしもん…キャラゲーはやっぱりキャラゲーか

ああ、あのユーザーに優しい「農場パラダイス」が、堕落してしまった。やってはいけない、課金をしてしまったのだ。

もはや楽園は存在しない。とっとと見捨てる大物盟友も出るし、私もショックだ。まだ、ココダワンが残っているので続けているが……ああ、3時間ごとの宝箱の呪縛から、もうすぐ抜けられるのかな…と、ちょっと気が楽になっていたりもする。

そんな心の隙間に、娘が「もやしもん」アプリのお誘いを出してきた。

……これ以上やったら廃人になるからと、頑なにアプリ追加を拒否してきたのだけど。
もやしもんがアプリゲームになるのは知っていながら、ずっと耳を押さえていたのだけれど。

1週間前、ついその世界に入り込んでしまった。

カオスだった。

まず、誰もが放置している。誘った娘すら、だ。
聞くと「だって、ログインできないし」
超人気漫画だけに当然ユーザーが殺到するだろうに、どうもそれに対応できる状態ではなかったようだ。
それだけではなく、もう、不具合が出っ放しだし、不安定でしょうがない。すぐに固まる、やった動作が反映されず元に戻る、しょっちゅうアイテムが消える……まともに動いていても、配慮が無さ過ぎだ。

たとえば、レベルアップするとする。

ゲームユーザーにとってはそれは至福の瞬間で、この手の育成ゲームでは、育成できるアイテムの幅が増えるという喜びに満ちている。
…が、喜び勇んで買える様になったアイテムを買い込み、それを醸そうとしても…それを醸せる菌が見つからない。他の先輩ユーザーのを見ても、無い!

……結局、一度離れて、入りなおさないと新しい菌が現れないのだ。

ログインしっぱなしがデフォのアプリなのに、それは無いだろう!

また、例えばメインキャラで案内役・味噌を醸すオリゼーと、後に現れて醤油を醸すソーエは見た目がそっくりなのだが、そういうこともちょっと触れてあげないと、迷うユーザーが出ること必至だ。

で、あまりに不親切なシステムとゲームバランスの悪さによほど苦情がいったのか、19日にゲームバランスを調整したらしい……

って!

次のレベルアップに経験値600が必要で、私は仕事もあるのでそんなに頑張れないながらも、それを稼いでレベルアップした。ところがその次のステップは210だった……

え? と調べたが、軒並みレベルアップへの経験値が下げられていて、収穫の経験値が無いにも等しく。
どかんと醸すよりも、ちまちまと樽を並べて雑菌を殺していけば、ラクラクレベルアップになってしまった。

……ゲームではレベル18で作物が終了、レベル20で樹教授の域に達するのだが、発表間もないのにその域を軽々超えるユーザーも続出。……働くママの私でさえ、1週間で…いや実質3日でレベル11w

「どうすんだよこれw」

菌のふわ~~~んと動く様子はなかなかよろしいし、樽をちまちま並べてわく菌を殺すのは楽しい。

しかし、人気漫画のキャラに依存しすぎで、そこから一歩も進めていないアプリだな、という感想は否めない。

菌のせりふだって「かもすぞ」だけでは原作のシニカルな魅力を出せてない。

もやしもん、なめるな。

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2010年6月27日 (日)

スコールは入院できない

息子に荷物を持っていって、「今日、じいちゃん・ばあちゃんが見舞いに来るかもしれないよ」と伝えた。

「マジかよ~(´д`)」
「何言ってんの。あんたが入院できるのはじいちゃんのおかげだよ。ほら、昨日夜、保証人になってもらった」
「マジかよ!(,,゚Д゚) Σ」

緊急入院に呼び出され、私は保護者として、息子の胸に穴を開ける等の同意書をとられた。
さらに入院の手引きをいただき、宣誓書を渡された。

本人の署名欄、保護者・配偶者など家族の欄、さらに、それらとは生計を別にする「保証人」の欄があった。
私の実家がそばにあるので、そちらにお願いに言ったのだ。……元気すぎるの、アスペだのとこの日記でも書いているが、足腰がすっかり弱り、最近は脳梗塞の診断も下った父が、たどたどしく署名・捺印してくれた。

「……字、でっけえ…」

おじーちゃんの筆跡に、息子も少し驚いたようだ。
「脳梗塞らしいから」
「ま、マジかよ!そっちのほうが心配…(,;゚Д゚)Σ」
「まあ、すぐにどうこうということもなく、治療に入れるようだから」

と私も諌めたが、…不謹慎ではあるが、これは息子の教育 の機会でもある。この書類の意味について、一応説明してみた。

「ママもこの病院で手術入院したけど、近くに親がいるって、ありがたかったわ。家族(成人)は、なんとか夫の署名を手に入れた。そしてすぐ親に保証人欄を埋めてもらえた。もしも家族も無く、信頼してくれる人もいなければ、入院もできないんだわ」

「……(,,゚Д゚) 」

そう、病院だって慈善事業ではない。思うような結果が得られなかったからといって裁判だなんだと大騒ぎするような患者は困るし、入院治療費を払えない患者も困る。救済措置はあるようだが、まずは自分で、そして家族が、さらには別生計の保証人が、と幾重にも保障を求めるのだ。

もしも天涯孤独の身なら大変だ。自身が十分な蓄えを持つか、保険でなんとかするかするとしても、やはり保障人として判を押してくれる人がいないと、入院も引越しも、何もできない。

「……まあでも、俺はネットや仕事で、信頼してくれる人もいるし…」
「万一あんたがお金を出せなければ、何十万、何百万でも払います、という意味なんだよ、これは。それだけの信頼関係を築くのは、大変なこと」

「……」

いろいろと悪態をついたこともあるけれど、PCメンテの名目で毎月5000円のお小遣いをくれ、こういうときに無条件に判を押してくれるおじーちゃん…

「スコールは、入院できないかもね」

ファイナルファンタジー8は、FFファンの中でも賛否の分かれるテレビゲームだ。FF史上最も売れたソフトではあるが、最後までいけたか、これが好きかと言われればNO!と言う人も多いと思う。
それはバトルシステムがちょっと特殊だったこともあるが、主人公とヒロインの性格が、いろいろアレだったのだ。

通常のロールプレイングゲームは、プレイヤーの分身である主人公を操作して、非日常的な冒険を楽しむものだ。FFシリーズは、プレイヤーの分身ではなく、独立した人格を持って物語を進めることが多いのだが、ことにFF8は「主人公に共感できない」と投げ出す人が続出したのだ。

私もその一人で、「これほどゲーム向きでない性格も無い!」と酷評。一度は投げ出した。
その後、バトルシステムを理解して、ようやくエンディングにいけたのだ。

……スコールは、私だった。

こんなイケメンでも有能でもないけれど、なんだ、この物語は私のような人間に何かを伝えるためにあったのか、と痛感した。

スコールは、極端に人とのふれあいを嫌い、孤独を愛する男だ。
「期待して、裏切られるのがいやだ」「仕事をやってればいいんだろう」と、孤高の人を貫く。

が、その彼がエンディングで孤独という恐怖を実感する。

人を蔑ろにすることはこういうことか…

このゲームを作ったスタッフもすごい。現実に背を向けてゲームに没頭する人はおいしいお客様だが、あえてそういう人に「これでいいのか」と投げかけたのだ。あの頃のスクエアは、いろいろと面白かった!

どんなに不孝しても、当然のように協力してくれる親や親戚がいなければどうなるのか。
友人などが、果たして数十万の金を請求されてもいいよ、と判を押してくれるものか。

息子は、それなりに信頼できる友人知人がいるようだが、その書類を見て認識を改めたようだ。
「オカンの入院費用っていくら?」
「同じ無差額の部屋で、30万くらいかな」
「30万!」
息子と娘が目を見張った。幼い頃と違い、その金額の重みを実感できる年頃だ。
「でも、保険でほぼ全額払えた。それに仮にも正社員なんで、1ヶ月以上の休養でも保障してもらえた。バイトやフリーター、契約社員などでは、ちょっとの病気・ケガでも命取りになりかねない。家族や親戚、信頼してもらえる友人がなければ、入院さえできないのである。

いやあ、子どもらに良い教育の機会になった…

入院3日めにまた、頼まれたものを届けに行くと、息子のベッドに腰掛けているらしい女の子の足が見えてびっくり。

中学時代の不登校仲間の男女が訪問し、何かと差し入れしてくれていたようで、もうオカン帰っていいよ~な空気がモロ。

…まあ、それもいいか。

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2009年12月22日 (火)

大人のFF

仕事途中で立ち寄った田舎町のコンビニには、サッズのエリクサー缶だけが残っていた。

…わかってないなあ、この街の人は…

荷物や仕事がなければ買い占めたかったところだ。

私は一見、ゲームに夢中なやんぐに見えない。はっきりいっておばさんだし、「もう、うちの子ったらゲームやネットに夢中で…」と愚痴る立場の人だ。…しかし、テレビゲームには年齢を超えて夢中にさせる魅力があったし、大人に特化したゲームや、むしろ大人が子供とは違う魅力を発見することもあるゲームも、昔から存在していた。

私にとってはFF6が衝撃。クロノトリガーに興奮して、中古でも1万円くらいしたのについ買ってしまったソフトだが、16人のキャラクターが入れ替わり立ち替わり、それぞれの物語を紡ぎながら世界を描くのにも、深い戦闘システムにも恐れ入ったが、思い入れがあるのが中年サムライ・カイエンのストーリーだ。幼い息子と愛しい妻、忠誠を誓った王と故郷…それをすべて帝国に奪われた男のストーリーは胸を突いた。ちょうど自分が二人の子の親となったころだ。あのボス戦のあとのシーンはもう…今思い出しても涙が出る。

で、最新作のFF13、第7章を終えたところだが…

これは、私くらいの世代に向けている???

もちろんネタバレはできないのでぼかして書くが、親として、年長者として多感な子供に対してどういう姿勢を見せるか、どう導くか、…そして、謝るか。

「こいつ、金魚のフンじゃねーのwww」と糸色望クン…じゃなかったホープ君を笑った息子だが、私はずっとこのホープの中に息子を見ていたし、とくにスノウの言葉のひとつひとつに怒りをつのらせるときの目つきや口元なんか、息子が私に向けるものそのものだった。…ああ、息子はこんな美少年ではないけれど。

こんな少年の暴走する怒りや苦しみを、大人としてどうするのか。

いろいろ考えさせられたし、ホープの父、筋肉バカ、筋肉バカの義姉さんなど、それぞれの心境を鑑みつつ…いや、そんな余裕もなく、私はぼろぼろ泣いていた。

うーん、そんなに期待してなかったんだけどなあ…

今のところこのソフトは40代反抗期の子持ちOK。

ライトニングとファングの「姉御ーズ」もなかなかによろしい。しかし、いきなり強烈なバトルに突如の3人パーティはきついw(これもいつものことだけど) …オプティマ「■■の■■」と「■■の■■」の区別がつかないw漢字コマンドは高確率で読解不能。どっかのシナリオでも「■を破壊するとエネルギーを回復します」というのに「なにを破壊するんじゃ~~~~!」と笑いつつ、野生のカンで「柵」を破壊した。合っていたようだ。

もう、自分に「心眼」があると信じる。

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2009年12月19日 (土)

FFもベテランになると

「13、ほんとにやばいらしいぜ」

息子のいう根拠は、ネットでの噂だ。

まったく、おまえは何年FFをやっているのかと。発売直前にネタバレ、発売後には罵倒、毎度のことではないか。前作の12は、発売数時間でディスクが叩き割られた画像が出たくらいだ。

「そんなのいつものことじゃない」
「いや、今回ばかりはマジで。レベルアップの概念が無いとか」

…そんなの珍しくもない。FF2もそうだし、FF10、FF12もそうじゃないか。FF8はレベルの概念さえ変えてしまった。

「ボタンを連打するだけで進めちゃうとか」
…ああ、FF7なんかはその世界だったな。セロテープを使って一晩おいてレベルアップなんていうワザもあったくらいだ。初心者もつい手を出すキラーソフトだけに、敷居を低くするのも、いつものことだ。

「すげえ一本道だって。マップとか、ありえねえ」

おいおい、FF10がそれだったじゃないか。敵を出さずにマラソンしたら、1時間くらいで走れるという「世界」だったぞ。

大体、FFは常に賞賛と同時に批判され、揺り戻しをするソフトなのだ。

FF7→バトルは簡単。おやじキャラ多し→FF8では反省して、バトルシステムを複雑に、パーティメンバーは全員ティーンに→FF9では反省してバトルを単純に、美形キャラを減らして主人公をサルに→FF10では反省して萌え要素を多めに、一本道の誰でも楽しめるストーリーに→FF12では反省して、自由度をアップ。2時間経っても街を出られない、なんだか違うとこに出てしまった、100時間経ってもクリアできる気がしないプレイヤー続出→

そりゃあ、FF13が一本道になるのは予想できただろうw 体験版もそれをうかがわせたし、わけのわからない世界観なのも、野村哲也氏好みの「だ、大丈夫かこの娘??」というヒロインが出てくるのも想定の範囲内だ。

まずは黙って一周。自分が楽しめなくてもそれはそれで受け入れる。一度は放棄しても、ちょっとしたことでそのおもしろさに気づくこともあるし、あばたもえくぼで欠点さえあとになれば「伝説」になる。

思えばFF12の出たころは、オイヨイヨ祭りだったが、あのヴァンを演じた武田航平クンも仮面ライダーやNHK朝の連続ドラマに出るほどの活躍だ。

今回は、文字が小さい祭りで、端子ケーブルやテレビが売れるという伝説を残すことだろう。

「…けどさあ、FF13ではパンツが見えないんだぜ!」

そ、それは聞き捨てならんな!

…で、今日は貴重な休みなのでプレイしてみたが、なんだ、意外と面白いではないか!

FFは初心者もマニアも満足させる間口の広いソフトだけに、複雑なバトルシステムも、わけわからない世界観も、ちょっとずつ理解し、ついていけるようずいぶん工夫されているし、バトルも甘くない。もう何度ゲームオーバーになったことかw しかしすぐ一歩前から始められるし、攻略法を考えてリベンジするのも楽しい。

しかし、オーディーンはきついw

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2009年12月16日 (水)

FFとドラクエ、比べないで

ブログネタ: あなたはFF派? それともドラクエ派?参加数

なんかこういうネタがあったので…

私はもう、不治のFF奴隷だが、ドラクエも少々楽しんでいる。昔から、ことに今のようにスクエアとエニックスが合併する前には、どういうわけかドラクエ派とFF派がいがみ合うことが多かった。

しかし…不毛な争いではないのだろうか?

ドラクエは王道を行くRPGで、自分の分身である「勇者」を活躍させていくゲームである。

一方、FFは「絶対に主人公に自分の名前をつけるな」と言われるほど、主人公はプレイヤーの意志などおかまいなしに、勝手に動く。時には(自粛)など、とんでもない行動をとることさえあるし、その先がハッピーエンドとは限らない。プレイヤーとは完全に別人格だと割り切らないといけないタイプの「ゲーム型の劇場」だ。

私は猫が大好きだが、私の家族は全員、犬派だった。

たまに子猫を拾っても、「猫は悪さをするし、裏切る。犬は主人に忠実で、裏切らない」と、飼うことを許されなかった。玄関には犬がいたが、犬は私が帰宅すると「おかえりなさいませ、お嬢様~!」とばかりにとびつき、しっぽを振りふり顔を舐めようとする。

…私はこれがうざったくて仕方がなかった。おまえには動物としての誇りはないのか、いちいち歓迎するなこの単細胞!…ああ、気まぐれで高飛車な猫を飼いたい! こっちの都合におかまいなしに気ままにふるまう猫!

そんな私は家では異端者扱い。「忠実な犬」を評価する家族には猫を評価できず、「気まぐれな猫」こそ美しい生物と思う私には、犬を認められない。

結局、この点については永遠に平行線だ。

そして犬と猫、どちらが優れているかなんて、誰にも決められない。

持ち味も目的も違うのだから、競っても意味がない。かつては別会社だったから、どっちが売れるか、などの競争もあっただろうが、今は同じ会社が出す人気ソフトの両雄。今更、比べてあおらないでほしい。

…で、圧倒的に猫タイプのFF派だろうと思える私だが、この設問ではFFを選ばなかった。

だって、私は映像や音楽がスゴイからFFが好きなのではないから。

いや、これもすごいのだけど、スーパーファミコン時代にあそこまで絵と演出にこだわった、「変」な部分を愛している。

そのハードの限界に挑戦し、いかに驚かせるかを誇る。笑わせたかと思おうとどかっと泣かせる。思わぬ戦略が、ゲームバランスを破壊しながらユーザーを興奮させる!

毎度毎度「…変だなあ」と思うところがおもしろくて、つける薬がないFF好きになっている。

…明日はいよいよFF13の発売日。…もともとFFをつくった、やんちゃな坂口氏も、音楽の植松氏もいない状態でのFFだが、果たしてどうなるか。

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