2008年7月26日 (土)

恐怖の「魚食いナナ」ちゃん

我が家には、「魚食いナナ」と呼ばれる水草がある。

アヌビアス・ナナという、とても丈夫でポピュラーな水草であるが、これが魚を食うのである。

ミッキーマウス・プラティを飼っていると、老若男女に関わらず、死を待つ魚を見ることがある。奇形もいるし、何らかの理由で子供の頃から弱い個体もいるし、十分生きただろう、という個体もいるが、私はこれらの魚については自然に任せることにしている。

で、「もう、今日明日だろうな…」というくらい弱った魚が、なぜか姿を消すのだ。

それはたいてい、ナナちゃんが食っている。

正確には、アヌビアス・ナナの根元に死体が入り込み、取り除くことも出来ないまま骨も残らないほどきれいに消えてしまうのだ。一応、そうならないように気をつけているのだけど、はい、そこじゃなくてこっちで死んでね、というわけにもいかないし、死期を悟った魚がむしろそういうところに入り込むこともある。

先日から、うちのプラティ最古参の通称「グランマ」が、危篤になった。年をとってからいつもナナの影にいたのが、むしろ盛んに泳ぐようになり、「あ、そろそろお迎えかな…」と思った。仕事などが忙しくてじっくり観察している時間もなかったのだが…

ああ。ナナの隙間に、ご遺体があるのが見えた。

グランマは8センチはあり、ふっくらとフグのように豊満なボディをしていたので、さすがに見えたのだ。

しかし、これがどうしてもとれない。

こんな大きなグランマが腐敗すれば、水質悪化は免れないのに……

そうこうするうちに、これ以上取り除こうとすると酸鼻を極めることになりそうなので、水換えで乗り切ることにした。

このところこの水槽へのエサやりは控えている。魚たちも食べないし、これ以上水質悪化を招いても仕方ないし。

そしてナナちゃんは、ぐんぐんと成長していくのだった。

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2008年5月21日 (水)

ミドリフグは赤を視る

ミドリフグは、赤虫が大好きだ。

それだけでは栄養が偏ったり、健康に良くないらしいので、なるべくいろいろなものを勧めている。ミル貝の水管の先っちょ、鯛の切れ端、エビなどである。

しかし、ここに来た当初は何でも大喜びで貪るように食べていたフグたち、なぜか好き嫌いを言い始めた。赤虫を投入したときと、ほかのものと、ずいぶん反応が違うのだ。

フグは視覚がとても発達した生き物で、エサを目で確認するのが一番多い。

身の白いエサを投入しても、見向きもせず、ピンセットから放してひらひらと舞い降りると、ようやく1匹が食いつく、という状態。もう1匹は、それでも反応せず、赤虫が入ってくるのを待つ状態。好き嫌い言ってると、大きくなれませんよー。負けて殺されちゃうよー。

赤虫を入れたとき、ふとあることに気がついた。奪い合うように赤虫をついばむフグたちの勢いに、赤虫がばらけた。すると、何を思ったのか、1匹のフグが水槽に浮かぶボーメ度計の目盛りの、赤いところに突進したのだ。

すぐに、見間違いだと気づいて、ばつが悪そうに赤虫のほうに向かったが。

フグは色を識別しているのだ。

フグの目の位置や動きからみて、ものを立体的に見ていそうだとかは予想できたが、色も見ていたのか。赤以外のほかの色をどう見てるかも気になる。

今朝も、近くの信号に、赤だというのに猛スピードで突っ込んできた車があった。本当に、信号をろくに見ないドライバーが多すぎる。

フグだって、赤を見わけるのに。

突進するけど。

Aka

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2008年5月18日 (日)

懲りずにミドリフグさんを招き入れた

とってもとっても可愛かったミドリフグをわずか40日ほどで失ってしまい、階段から落ちるわ、全身湿布していたら風邪をひいて高熱は出すわ、という散々な目にあいながらも、私はまったく懲りていなかった。

包帯だらけなのに熱帯魚屋さんに行って、ちょっと大き目の水槽などを購入。店員さんに「大丈夫ですか」と言われた。レジでその水槽が、何かと話題の「ジェーーーーーッ○ス」だと気づき、翌日には水漏れ確認のうえ、水槽立ち上げ。前に使っていた砂、水、器材はそのまま流用し、水質を安定させるバクテリアをしっかり育てることにする。お魚を飼う前に、まずはバクテリアをお迎えするのだ!

ネットでベテランの方にいろいろアドバイスをいただいたのだが、ろ過が不十分なことと、ひとつしかない外掛けフィルタのろ過材を交換したことで、バクテリアが激減したのが水質の激変、フグの死につながったようだ。というわけでもうひとつろ過材を使うことにした。底面とか上部とか外部とか、いろいろあるけれど、今の外掛けと、水作を入れることにした。

水作、昔金魚を飼うときに使っていたっけ。ブクブクと、ろ過が同時に出来るのが魅力。場所をとるのと、見た目が今ひとつなのが気になるが、ちょうどこの夏限定のブルーがあったのでゲット。それを昔海で子どもと拾った貝殻を組み合わせてみる。

エアーポンプは、前のフグが来たときに実は買ってあった。電源が足りなかったりしたので使っていなかったのだが、テトラのOX-75とかいう、かなり大きい水槽でも大丈夫な、2個口のやつだ。夏の我が家はひどく高温になるので、フグはもちろん淡水水槽の丈夫なコたちにもエアレーションしてやりたいなあと用意していたのだ。セットしてみると、

080512_002 泡、多っ!

前に使っていた小さなポンプとは比べ物にならないくらい泡が出て、はじけて周囲に飛沫が飛ぶ。酸素は申し分ないけれど、塩ダレしそう……

とりあえず、古くて汚れた(バクテリアたっぷり)の器材と、新しい器具、酸素たっぷりの水に、毎日クリルを投入してバクテリアを育てまくる!

で、投入したクリルが気持ちよく溶けてなくなるようになった。亜硝酸はほとんどなし。今度こそ~~~!

で、先週ミドリフグを2匹購入。……一匹飼いが一番だというのに、煩悩に負けた。仲良くしてくれますように…

数日飼って、フグさんたちもずいぶん慣れてくれた。ケンカしなくてもたらふく食えると気づいて、結構仲良しになった。

着いた当初はやっぱりカメラ嫌いだったけど、今日はデジカメがギュイ~~~ンとか言っても、ご機嫌でカメラ目線を送ってくれた。だが、なんということだろう。普段フラッシュ禁止に設定しているのに、先日仕事でちょっとフラッシュ設定にしてしまったのだ。

080518_005 うひゃあああ

ミドリフグさんたち、ごめんなさい~~~!

なんか、目が光ってるし。

そのあと、やっぱりカメラいやがるしorz

それでもめげずに追いかけて撮った。なんとか、撮れた~!

080518_008 …一匹だけ。

…かなり警戒した表情になってしまったけど。

ああ、このふっくらしたおなか。

きょろきょろした目。

ほよほよ動くヒレ。

ヒレ酒好きでごめんなさい。

私、ようやく3次元に萌えました。

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2008年5月 9日 (金)

高熱の中地震襲来~我が家のナマズたち~

高熱で寝ようとがんばっていた夜、大きな群発地震に襲われた。

特に大きな地震のときは、リビングからガシャーン!と言う音がし、水が激しくはねている様子。慌てて飛び起き、部屋中に舞い踊る水たちをふき取り、水槽を押さえた。

水槽のプラティたちはそれなりにパニックを起こしていたが、ほの暗い水の底にいるコリドラスは、のほほんと……ゆれに合わせてころころ転がっていた。

一応コリドラスは、ナマズなのだが……地震予知には役立ちそうも無い。

幸い落ちたものなどに大きな被害は無く、息子を案じて声をかけた。姿が見えない。

風呂から、たからかな歌が聞こえた。

……いろいろ、役立ちそうも無い……。

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2008年5月 1日 (木)

階段落ちた、ミドリフグも落ちた…

昨日階段落ちして、ずたぼろで帰宅すると、ミドリフグが瀕死だった。

異常な亜硝酸値を出してから、ちょこまかと水換えし、水質の安定を図ってきたけれど、この数日はミドリフグもしんどそうで、エサの時間にはうれしそうにやってくるのに、食欲が今ひとつ。そして昨日は、いよいよぐったりと、奥のほうに沈んでいる。

息は…している。かなり荒い。

もう、朝までもたないくらいかもしれない。

水は、替えすぎてもダメ。でも、替えなければすぐ死んでしまう。

体は、ずたぼろ、水を運ぶのもつらい。

そのままおくか、少し、水を入れ替えるか。

悩んだ。どうやっても、結果は同じ気がする。……水を替えるのと、替えないのと、どっちが後悔するだろう。

結局、1/5ほどだけ、水替えした。少しだけ、応えるように泳いだ。でも力ない。この間のように、おねだりしてこない。

半身に湿布して、早めに眠った。私の右腕は、仕事中階段で転んだことによりすっかり不自由になって5年ほどになるが、左ひじもまた同じように壊れてしまっては、働くことさえできない。私は子供を育てているのに。学費や食費は、私が稼がないといけないのに。しっかり、回復しなくてはいけない。

朝。

フグはかろうじて息をしていた。

大好物の赤虫を、口元にもっていってやった。

すぐに、うれしそうに食べ始めた。このところ、水質の悪化と食欲のなさで、エサを控えめにしていたけど、赤虫、こんなに喜んで。

病院から出社、大忙しの仕事を終えて帰宅すると、フグは硬くなっていた。

昔の乳幼児死亡率の高い日本では、ある程度大きくなるまで正式な名前をつけず、今の七五三に残るように節目節目を祝ったものだけど、このミドリフグにもなかなか名前をつけずにきた。1ヶ月くらいしたら……などとも思っていたが、ちょうどその頃異常な水質変化を体験したし、ずるずると名づけできないでいた。仮に、「コド」と呼んではいたが。まだまだあどけない顔をしたフグであった。元気ではあったが、すぐにも神様の元に泳いでいきそうな予感が、自分にあった。そうさせないために、水槽などから改めて用意しようと準備していたくらいだけど。

とにかく、今は体を回復させなくては、水槽も運べない。水なんか、作れない。

ところで昨日と今日、朝のテレビで私の占いは絶好調だったわけだけど。

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2008年4月23日 (水)

猫の漫画を買った1~青池保子の猫漫画~

久々に本屋へ。荷物が増えるのは困るけど、たまにはチェックしないとね…

猫本(ねこもと)2(にゃ)が出ていた。

おお、エロイカでおなじみの青池保子先生が書き下ろし猫修道院漫画を描かれたと、ご本人のブログで拝見していたが、これかあ。手に取ると、最強の猫漫画本リターンズ!とあり、36人もの漫画家が猫をテーマに漫画を書いているらしい。裏を見ると、参加執筆陣の名前が。おおおお、本当に豪華。

猫、ハムスター、鳥などのアンソロジー本なら私も何冊か読んだが、それなりにすごい書き手と、これからの人が中心でほのぼの「うちの子かわいい♪」とエッセイコミックを書いているのが普通。

しかし、この本の濃さは、読む前からわかる。最近アニメ化した「チーズスイートホーム」のこなみかなた、シュールなネタが病みつきになる「プ~ねこ」の北島正幸が、講談社としては2枚看板。

そのうしろに控えしが、萩尾望都、青池保子、上条淳士の3人だ。

この3人を、2番手におくか。

その次に、安野モヨコ、諸星大二郎、山下和美、漆原友紀、小林賢太郎(ラーメンズ)だ。この面々だけでも、十分看板になりえるだろう。

そのあとに、26人の漫画家が小文字で続く。って、おいおい、このお方が小文字でいいわけ????という作家さんも数多い。

レベル高すぎ。

青池めあてで購入したが、さすがにうちのペット自慢アンソロジーとは一線を画す内容の小編集になっている。あれこれ書いてもきりがないので、今日はめあての修道院猫漫画の話で。

まず、青池保子が猫漫画????である。

これまで青池作品の猫というと、ギリシャの富豪スパイの電撃塀を歩く猫の親子とか、ブラックジャックに出てきたお猫さまくらいは思い出すが、特別猫を描いたとか、この先生猫が好きそうだとか、あまり感じられなかった。まあよい、とにかく久々に青池先生の修道院漫画(トンスラ有り)が読めるのだ。

猫は悪魔か、人のよき隣人か。

外界を知らぬマルタン修道士の苦悩と恐怖、そして緻密な猫の描写。修道院に導入された生物兵器にまつわる逸話が、12ページにまとめられている。

…やっぱり修道院逸話が描きたくて、猫本に参加されたんじゃないかとw

これを機に、「ファルコ」のような作品がまた読めるようになりますように。

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2008年4月17日 (木)

魚と同じものを食べる~ミドリフグ、オトシン~

そろそろミドリフグも飼育一ヶ月。

私もふぐもおっかなびっくりの関係だったが、それなりに互いを理解しはじめていると感じる。

前のアベニー・パファの遺産である赤虫パックを消費するためのミドリフグだったが、魚や貝、えび、いかなどもよろこんで食べるそうなので、いろいろなものをバランスよく食べるようしつけ中。魚などをさばいて、われわれはお刺身などを楽しみ、フグには、中骨についた肉をほおばる。うむ、「家族」として食卓を囲む雰囲気ではないか。

今のところ、アサリと川えび(スジエビらしい)を冷凍しており、赤虫と交互に与えるようにしている。川えびも最初はほとんどやわらかい肉しか食べなかったが、今日は殻や足などの固いところももりもり食べた。アサリだって、だんだんお気に入りになってきた。とっておきの生いかなごには見向きもしなかったのは残念だが、刺身用ほうぼうの、抜いた骨についた肉は喜んでいた。残りの身は、われわれがカルパッチョとスープでおいしくいただきました。なんだかわれわれがふぐの残り物をいただいているようだが、こうしてしつけておけば、万一近所の熱帯魚屋がどうにかなってしまっても、食べ物を確保できる。

最近気になるのがオトシンクルスだ。前のオトシンが落ちてしまってから、しばらくオトシンを導入していなかったのだが、コケがあまりにひどくなり、熱帯魚屋でおなかをすかせて仲間の死体をつっついているオトシンをお迎えした。さあ、たんとお食べ~

しかしこの1匹ではあまりキレイにならない。もう1匹お迎え。個性があるのだろうか、この子がたちまち気になっていた水槽のコケを食べつくしてしまった。

そうなると今度はオトシンのお食事が気になってくる。水草のある水槽ならある程度は放置していても大丈夫だが、このペースだと2匹が飢えるとみた。これまで草や水槽に吸い付いていたのが、2匹して底に寝そべっているのが気になる。お掃除係にも「報酬(えさ)」を与えなくてはいけない。

まずは定番のコリドラス用タブレット。少しでもいきわたるように割って、電気を消す頃に投入。食いしん坊のプラティどもがつっついているのが気になるが、朝、しっかり食べ残しに食らいつくオトシンを確認。少し安心した。えさを多めに入れれば、富栄養化でコケも生えやすくなるだろうし。って、また本末転倒。

オトシンさんのエサとして次にポピュラーなのは、きゅうりやほうれんそうなどの青菜である。しかし、われわれが食べるものにはほとんど農薬がついているので、オトシン愛好家は完全無農薬をめざすべく、自家栽培した野菜をゆでて与えるらしい。さらに、クロレラのサプリメントを食べる子もいるという。それを投入して食べてくれなかったら、飼い主がサプリメントをいただくことになる。おしなべて、オトシン愛好家はやたらヘルシーでエコロジーである。

と、いうのが以前調べたオトシンクルスのエサ情報だった。しかし、最近すごい情報が席捲しているようだ。

「オトシンクルスは昆布がお好き」

あちこちで得られた情報をまとめると、こうだ。

1.良質の昆布を水からゆでる

2.ゆですぎは禁物。やわらかくなり、塩っ気が抜けたところで取り出す

3.適当に切って水槽へ。喜んで食べます

……これって、普通にだしをとった昆布を、捨てずに入れればいいっていうことじゃないか!

最近忙しいことを理由に、昆布だしは昆布茶でちゃちゃっととってしまったり、安いだしこんぶで済ませていたが、むらむらと「いい昆布が欲しいわァ」と購買意欲に駆られてしまった。

笑うがよい。給料前だというのに日ごろ恐れ多くて近づきもしないようなデパートの「大北海道展」に赴き、さんざん昆布関係を試食して、「北海道南かやべ産 白口浜真昆布」150g1260円(税込)を購入してしまった。販売員さんが「旨みが多いから、水出しで一回、火を入れて一回、と二回だしがとれて、最後は刻んで佃煮にできるのよ」と薦めるのだもの! 水に一昼夜入れただけの昆布水は滋味あふるる旨さで、夏の簡易吸い物によさそう。そのだしがらをちょいと切り取って投入するだけでも、オトシンさんの非常食になるではないか!

フグに続いてオトシンさんとも食卓を囲める。なんだか素敵。

☆  ☆  ☆

ヤングジャンプの車内吊り広告を見た。

「ローゼンメイデン」が掲載雑誌を移った、とは聞いていたが、その大々的な宣伝の文句に「ローゼン麻生もご満悦」とあった。

……麻生太郎氏がローゼンメイデンにつなげられたのは、2ちゃんねるで「麻生大臣が空港で『ローゼンメイデン1巻』を読んでいた」というようなスレッドがたち、以下麻生太郎漫画狂伝説が貼られ、一気にアキバ系の支持を得た、という経緯があったと記憶している。麻生陣営も、その気流に乗って世界に誇る日本の漫画文化を誰よりも知る政治家として売り出している……と思った。麻生氏がとくに、ローゼンメイデンを愛読しているかどうかという真実は置いておかれ、2ちゃんねる等では麻生氏を「ローゼン閣下」などと持ち上げられているが、ここまで宣伝に使われちゃうなんて驚いた。

麻生さん御用達、と売り出す出版社。これをとことん利用する麻生氏?

事情はよくは知らないけれど、興味深い。

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2008年3月27日 (木)

営業職は、趣味の広さが強みです~コミュニケーション障害が輝くとき!

仕事上、いろいろな人に会い、いろいろな話をする。

子供の頃はほとんど会話をすることなく、本やテレビ、想像の世界だけを友にして育ち、現実にいる近所の人や、クラスメイトは顔を覚えることさえ困難だった私、営業だなんて、考えたことさえなかった。しかし、最近意外と楽しくなってきた。

今日はフレンチのシェフと商談。この方は本当に偉大な方で、厳しく、やさしく私を育ててくださる。最初は怖くて落ち込んだものだが、このところ雑談を楽しんでくださるようで、私もお話しやすい。

シェフの意外な趣味がヘラブナ釣りだとは前に伺っていたが「今、釣り仲間から電話が来たんですよ。桜が咲く頃にシーズンが始まるんです」と語らってくれた。私は釣りはほとんどしたことがない……釣り糸を垂れたことは何度かあるけれど、まったく釣果は得られないでこの年になったが、子供の頃読んだ「釣りキチ三平」や、アクア系の本で、そのおもしろさはわかる。「ヘラブナは、酔っ払って釣り糸を垂れるだけじゃ絶対にひっかかってくれないんです」「賢いそうですねヘラブナは。そこが、日本の伝統的なスポーツフィッシングと言われるゆえんですね」「もう何度もひっかかったやつと勝負するのがねぇ…」シェフの釣り談義は止まらない。それを私も、本気で楽しんでしまう。そのへんが、意外といいらしい。楽しく商談終了。

その店の近所の薬局の若旦那は、私のアクア仲間だ。店に熱帯魚の水草水槽があり、たちあげの頃に飛び込んで「水槽立ち上げですか」と声をかけ、魚が入ってからもあれこれ談義をしている。高校時代からのアクアリストである若旦那とは、話が本当に合う。その頃って私が「アクアライフ」を読みながらお魚を飼う夢を膨らませていた頃。お魚の知能指数についてもよく語った。

私たちが「お馬鹿」と決めて盛り上がったのは、やはりめだか関係だ。とにかく殖える!うざいくらい殖える! 彼もかつてプラティやグッピーを飼ってみたが、あまりに殖えるのでほいほい大型肉食魚水槽に投げ込んだと語った。あーかわいそう、とは言いつつも、つい笑ってしまった。日本のめだかもそうだが、熱帯めだかも本当にお馬鹿で、目の前の動くものなら、自分が生んだばかりの子でもばくばく食べる。生んでは食い、負けずに生む。生むために食う。そして、他の生き物に食われる。こいつは、食われるために生まれてきたのか、さすが、食物連鎖の下のほう!と絶賛するしかない。こういう生き物がいてこその生態系だ。私は結構、こんなめだか類のお馬鹿なところを愛している。

賢い魚、というとうちの水槽ではフグ類だろう。あれは、魚類でもちょっとどこか違う気がする。動きや反応が本当に他の魚と違うのだ。うちはナマズやドジョウ、カラシンなどいろいろ入れていてそれぞれに個性的だが、フグの個性にはかなわない。あれは、人との関わりをものすごく意識しているようなのだ。

植物の「蘭」が、動物的だといわれるように、フグは魚類と言うよりはどこか哺乳類的だ。なつくし、すねるし、飼い主とのコミュニケーションやかけひきを楽しんでいるようだ。猫に似ている。媚びてメロメロにさせるようでいて、決して飼い主に忠誠なんか誓っておらず、むしろ飼い主に奉仕させるような。寝姿なんか、猫そのもの。きゅっと丸まっている姿を幸運にも見かけると「あ~ここに小さな土鍋でも入れて、そこで寝たら『ふぐ鍋』で大人気ブログ間違いなしだわ!」などと馬鹿なことを考える。

と、超愛犬・愛猫家の女性クライアントに語ってみた。この方とも結構長いお付き合い。最初飛び込んだときはけんもほろろに追い払われた。見た目も少し怖いのだが、私はどこかで「この人とはうまくいくんじゃないか」と感じた。負けずに顔を出し、雑談をしていたらお仕事をもらえた。なぜか、ライバル会社にも「こんなすごい人材がいるのよ」と紹介してもらえたw。無駄に知識(だけ)があるのが、興味を引かれたようだ。すでに犬、猫をたくさん飼い、これ以上ほかの生き物になんか手を出せないわ、ダンナが怒るし、という彼女だが「あなたが言うと、フグ飼いたくなってくるわ~~!」と目を輝かせてくれる。その前に、新しい契約くださいよぉ…という気もあるけれど、あの当時のけんもほろろを思い出すとどうでもよくなってしまう。人間、どんなことでも評価されるとうれしいものだ。

学歴も資格も無いが、無駄な知識はけっこうあるオタクな私。塾の先生、文学青年、歴史趣味の人、生き物好き…などには妙に愛されることに気づいた。昔ツアーの企画などをやっていた人にはひょんなことから「タダモノじゃないねw」とお褒めいただいた。それで契約ゲット!

ああ、今まで生きてきて良かったなあ。恥の多い人生だけど、どこかで私を面白がってくれる人はいるんだなあ。

……今のお仕事が、長く続けられますように……(子どもにさえ『ママの会社潰れそうだね』と言われるけど)

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2008年3月24日 (月)

ミドリフグに川海老を与えてみた

地獄の水槽からわが家に来たフグはとってもご機嫌。水質も安定していて、いい感じである。赤虫を元気についばむ姿は本当に可愛い。しかし一方で、「赤虫だけでは栄養が偏るというし」と、そろそろ違うえさを与えたくなる。

わが家の近くには安い鮮魚店があり、運がよければ激安で活き貝などが手に入る。それを捌いて刺身などでいただくのだが、貝殻に残った肉の切れ端、ひもの切れ端などでもきっとフグにはいいご馳走になるだろう。

そして店に赴くと、貝類はそこそこだが、新鮮そうな川海老100グラム398円が半額になっていた。

半額で、グラム199円か。肉・魚類は基本グラム100円以内のわが家にとっては目玉が飛び出る高級食材である。が、熱帯魚たちのえさはもっと高額なのが普通だ。今使っている「テトラミンスーパー」は、安売り店で買っても100グラム当たり1100円を越す。赤虫は安価であるが、肉食魚の生餌は値段よりも命というプライスレスなものを扱う。

たとえフグが気に入らなくても、我々人間がかき揚などでおいしくいただける川海老が、このお値段ならよいではないか。

小さな海老をつまんで、水槽に突っ込んでみた。飼いはじめて4日、ミドリフグは私の顔と、海老を交互に見ながら、そろそろと寄って来た。

「私のこと、エサをくれる人くらいにしか思ってないんだろうなあ」なんていうレベルではない、と私は思っている。

「私なんて、エサの一部だと思ってるんだろうなあ」で、正解。

私は今日、海老を指でつまんで水面に突っ込んだ。…フグには、いつものようにピンセットがないのが不思議なようだった。私の顔と、指を見て、ゆっくり観察。たぶん、ピンセットは私の体の一部だと思ってるのだと思う。エサよりも、ピンセットを齧ってることもあるし、あのきらきら輝くものの先に、おいしいものがくっついてくる、という認識だろう。

じっくり、じっくり川海老と私を観察しながら、慎重に、海老の頭の付け根にかぶりついた。ふーん、足とか触覚とかからじゃないんだ……いきなり肉。殻や頭も食べさせたいんで、しばらくそのままじっとする。

危険がないとわかると、すごい勢いでついばみ始めた。ウマーーーーー!という声が聞こえてきそうである。

ある程度、肉がなくなったところで海老を放し、しばらく観察。おっとついでにカメラを……ブログ用にも、もう待ちうけとか、会社のパソコンの壁紙にも、この子を使いたくてたまらないのだ。親ばか全開と笑わば笑え。育児を終了した人は、ペットで親ばかするものなのだ。

しかし。カメラを出すとよよよよ~っと隠れてしまう。引っ込めると、出てきて海老をついばむ。再びカメラを出すと……ああ、カメラ嫌いなのね……orz

小さな海老だと思ったけど、完食するには厳しそう。ちょっとお肉を食べただけでもおなかがふくれてきたし、しばらく尻尾を齧ったりしているのを見ていたが、ころあいを見て引き上げた。ついでに、ころがっていた大きな糞をスポイトで吸出し、念のため亜硝酸チェック。もう、朝泣くのはいやだから。

☆  ☆  ☆

「このフグ、こういう理由でつい買っちゃったんだ」と、休日に話した。瀕死のフグたちの中で、ひとり勝ち誇ったように笑っていた男……いや、性別わからないけど、そういう少年漫画的ストーリーを子どもたちに語ったのである。

「だから、蟲毒の『こど』って名前にしようかと」と、私。

「やだー! だったら『ドク』がいいなあ」と娘。て、なんかそれ毒々しいし。

「おいおいフグの名前は『グフ』と相場が決まってるんだぜ?」と無駄にいい声で息子。

……これまでまったく無関心で、世話のひとつもしなさそうなのに、なんで命名権だけ主張しやがりますか、お子様方。

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2008年3月22日 (土)

人はなぜ愚行に及ぶのか~ミドリフグに再挑戦~

ミドリフグ3匹を☆にしてしまった私。十分に水が出来上がっていなかったと思われ、これまでの野生のカンでのほほんとお魚を飼っていた自分を猛省。試薬を買い、じっくりと水質を調べ、水流を悪くする人口水草もとっぱらってみた。

もうほとんど、問題ないくらいの水質になった。それでもさらに水質管理用のグッズが欲しくなり、セールを行っている熱帯魚屋さんへ。…このときは「焦っちゃダメ…でも、ミドリフグの状態が良かったら、お迎えしてもいいかも…」と考えていた。

セール日のお店はすごい人出。右往左往しながら目当てのグッズをかごに入れ、ようやく落ち着いたところで生体売り場に。はあ、自分では到底飼えない魚もたくさんいて、うっとり。

ミドリフグ水槽に来た。何匹か寄って来る。本当~~~に可愛いなあ。

……がしかし、よく見ると、状態があまりにもひどい。どのフグも、尾びれが欠けている。白く変色したヒレが当たり前で、中には傷跡が白く膨れ上がっているのもいる。明らかに色がどす黒く、透明感もないまま横たわっている個体もいる。

「こんなお店では買ってはいけません」を絵に描いたようだ。

「これはひどい……」どんな素人でも、このミドリフグたちをお迎えしようなんて思わないだろう。てことは……死神と取引しなくても、この子たちの「カウントダウン」が見えてしまう。

しかし、ついつい観察すると、一匹だけ比較的ヒレが健康で、体色も良く、ひときわ大きいコが目に付いた。

……このコは意外といけるんじゃないかな。……しかし、ここにいる限り、一緒に処分されそうだ。ここにいるよりは……いや、前の教訓で、状態のいいのを買おうって決めてたじゃない……こう見えても弱ってるかもしれないし、病原菌だらけかもしれないし。

……一方、まだまだ、うちの水槽が完璧とはいえないかもしれない。このコを、パイロットフィッシュ扱いしちゃうかもしれない。そ、それでも

うちに来てくれますか???お互い、ダメモトで。

「すいません…ミドリフグの、あの、一番大きいのください」

買ってしまった。

Kodo1

本当に、あの地獄の中で奇跡的に健康な子だ。ふっくらとスタイルもよく、食欲旺盛。というか、もしかして他の個体をあんなにした超本体か。

無数の妖怪をひとつところに閉じ込め殺し合いをさせ、最後に生き残った妖怪を……なんて「犬夜叉」でやってた「蟲毒」を思い出した。

もしもここで生き延びることができたら、「蟲毒」のコドちゃん、なんていう名前にしようか…

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