いよいよ今度こそ、「テレプシコーラ」第一部最終回が、6日のダ・ヴィンチで読めるはず。
小学5年生、まだランドセルを背負い、ひとつ上の千花ちゃんのあとを、ただついていくだけだった六花ちゃん。…いろんなことがあったね。楽しいことも、つらいことも。
でもつらいことがあればいつも逃げ込めた、しっかり者の千花ちゃんはもういない。
この現実を受け止めた六花ちゃんは、逆に千花ちゃんを軽いジョークのつもりで侮辱した茜ちゃんにしっかり抗議するくらいに強くなり、今、千花ちゃんだけでなく、お母さんにも、金子先生にも頼らず、自分の舞台を創り出そうとしている。
それは、千花ちゃんへの鎮魂歌? それとも…
いろいろ想像をめぐらせながら、わくわくしている私。なんという至福。
回顧厨で申し訳ないけれど、昔、私が子供の頃は、人気漫画の最終回というのは、ものすごい興奮をもって読まれたもの。私が遭遇したのは、「愛と誠」など。まさに人気絶頂、興奮の坩堝の中で、当時の連載漫画は、物語の終焉を迎えられたものでした。最近の人気漫画は、人気がある限り連載が続き、結局ぐだぐだになって、人知れず連載を終える…なんていうパターンが多くて、悲しい。そりゃあ漫画は、経済商品かもしれないけれど、読み手としては、だらだらと長く続けて商品化されるよりも、きちんとしたストーリーの完結を期待したい。
私もそれほど偉いことをいえるほど漫画に詳しいわけではないけれど、「テレプシコーラ」は、作者の中できっちりと構想が練られ、思う存分筆を振るえたんじゃないかと思える、久々の作品。ただひたすら、現代の、埼玉県に住む公務員の父とバレエ教室を営むお母さん、お母さんの影響でバレエにうちこむ、美しい姉妹という家庭を丹念に描き、華やかなバレエの一端に触れる一方、その生々しい台所事情を容赦なく描写。
「少女の憧れ」なんていう甘いものではないバレエの現実を垣間見ながら、篠原家の幸福と悲劇を見守る…一読者の私は、あの、純真でただひたすらかわいらしい六花ちゃんと、尊敬さえしたい千花ちゃん、優しいお父さんと、母として妻として指導者として、常に完璧であろうとした千恵子お母さんを、どれだけ愛してきたことだろう。ある意味千恵子さんと似たもの同士なのだろうけど、よりにもよって、正座が基本のお茶の先生であるおばあちゃんと、正座は憎むべき敵!のバレエの先生千恵子さんの嫁姑関係にも苦笑。裕福で、小粋で、若い後妻さんを迎えた青山のおじいちゃんとか、なんだかよそさまの家庭に入り込んだ気分で、自分の親戚のように感じてしまう。ちょっとした、お料理のエピソードなどにも人間関係や、性格も推し量られてすばらしかった。
金子先生は、素敵だったなあ。
こんな人が身近にいたら、どれだけ心強いだろう。こんな人に、私もなりたかった!彼女が、この先幸せになれますように。
貝塚バレエ団の先生方も、個性豊かでよかった。いつしか五嶋先生以外、「六花ちゃん育成プロジェクト」になってしまった感があるけれど。実は私は五嶋先生が好きなのだ。私も最近気づいたのだけど。たぶん、どこか不用意に人を傷つけてしまったり、指導者として、人間として至らないところに、自分を投影してしまうのだろう。「そんなこと言うたらいかんがな~~」と、五嶋先生には言える。で、わが身を振り返る。鳥山先生が、自分の苦難を礎に、後進を必死で育てているところもよかったなあ。人間、こうやって、いろんなものを受け継いでいくものなんだ。
そして須藤家の人々。
第二部こそは、出るのだろうか。六花ちゃんが「踊りたい」と、インスピレーションを得るだけの踏み台にするにはあまりに惜しい存在感だ。美智子先生、英二、艶子、そして空美ちゃん。空美ちゃん、まさかこのままってわけじゃないですよね????空美ちゃんの踊りが、まだまだ見たい。彼女の幸福な姿を望みたい!!
六花ちゃんが挑む「白鳥」。富樫先生の奥様が踊る美しい白鳥、トゥラネラで踊っていた千花ちゃん、「転ぶかも」と予告していたこと…六花ちゃんの創造力は、どんな白鳥を創り出すのか。わくわく。
今日は、かなり感傷に耽りながら、またBGMに「トゥラネラの白鳥」を流しながらの日記。
手軽にこの曲を聴き、薀蓄を知るのなら、このサイト(音楽の部屋)様から。胸が締め付けられます。
また、「トゥラネラの白鳥」で調べていて、すぐにこの絶望的な哀愁に満ちた曲が、着メロでも配信されていることを知った。
なんか、「訃報専用」か?というくらい、微妙にイヤな着メロw。
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