2009年5月 4日 (月)

全裸セフィロスウォーキングwithエカテリーナ2世ディナーセット

昨日はまた、情緒不安定で社会が苦手な娘を伴って都内に遊びに出かけた。

メインは、東京都庭園美術館で行われている特別展「エカテリーナ2世の四大ディナーセット」。アール・デコの装飾が美しい旧朝香宮邸で、娘もはまった「女帝エカテリーナ」の、あのエカテリーナ2世の麗しい食器の数々が展示されているとあっては見に行かないわけにはいかない。

しかし、いつものことだが娘は家でネットでもやっていたほうがいいと、なかなかうんと言わない。
「ついでに目黒寄生虫館にも行こうよ。そのあと駅前で焼肉とか」
「そんなん、誰が行くかっw サナダムシとか見て何が楽しい」

……昔あんなににょろにょろ系が好きだったのに……(´;ω;`)寄生虫館、リニューアルしてから行ってないから行きたかった…

「じゃあ、スクエニショップにも行こうか。グッズがいっぱいあるらしいよ」
「えー……(ちょっと興味)」
「全裸の等身大セフィロスが見られるよ」
「…行く(゚∀゚)」

ありがとう、セフィロスさま!

というわけで出発。食事をして徒歩で庭園美術館へ。なかなかの混雑ではあったけど、展示品も建物も見所満載。部屋に入るたびに天井やマントルピース、ところどころにちりばめられた装飾品などにも注目させつつ、娘もそれなりに楽しんでいる様子。

とくに人気だったのがエカテリーナが愛人ポチョムキン公のために作らせた「カメオ・セルヴィス」。ほの暗い部屋でも鮮やかに光るブルーと金彩に魂が吸い寄せられてしまうのか、この部屋にいる人、ほとんど動かない!

「…ほら、ポチョムキン公の…」
と、小声で娘にささやいた。あの漫画を読んだのなら、より印象に残るはず。しかし娘は首をかしげた。
「ポチョムキン……あれ、どっかで聞いたような…」

娘、どこまで鳥頭なんだ……(つД`)

2人の姿を残したカメオもあったけれど、横顔にすると本当にエカテリーナ2世って容姿のほうは……なのだとわかってしまう。肖像画ではさほど気にならないけれど。

電車で渋谷へ。娘は服や靴も欲しいというので、ちょっとそういう街を見せてやろうと思ったのだ。ほれ、あれがテレビに良く出る109。ここがセンター街。スペイン坂。公園通り。で、あれがNHK。紅白はあそこでやる。などと教えてやるとそれなりに興味を持っていた。「しかし渋谷って何でこんな坂多いんだ……」娘が息を切らしながら言う。「渋『谷』だから」「…ああ!」「さっき通った駅前あたりはまさに谷底。昔は山の手線あたりに沿って小川があって『春の小川』もそこがモデル。坂を上っていくと『青山』だったりするし、地名で地形や歴史がわかるでしょ」地図読めない、方向音痴、地理がわからない娘だが、少し興味を持ってくれただろうか。

代々木公園ではフラワーフェスティバルというイベントが行われていてとてもにぎやか。球技を楽しむ人、演奏を楽しむ人、漫才の練習をしている人など、娘は人間ウォッチングも楽しんだようだ。「じゃ、ちょっと原宿に行こうか」少し予定を変更して、今超激混みの原宿へ。駅からして、乗れない、降りられないくらいの混雑ぶりだし、竹下通りは人がびっしりだったが、意外と娘はひるまない。

私、何年ぶりの竹下通りだろうw 空いている平日にばかり行っていたけれど、安くて個性的な服などがあるので、やっぱり面白いところだと思う。娘も奇天烈なバッグや、最近の傾向なのだろうか、「クラウドが着ていそうな服」とか「水銀燈が着ていそうな服」が安く売られているのに……さらにそういうのを着て、アニメから出てきたようなファッションの店員さんやお客さんに思わずびっくり。「あんたも着る?」「い、いやそれはちょっと…」とか言いながらいくつかの服を真剣に見ていた。……来年あたりにゴスロリ娘になっていなければ良いが。

さて、元の原宿駅前に。ここからスクエニショップまでは、失礼ながら明治神宮の森を行くのが近道。お参りもさせていただき、娘に明治の森の成り立ちや日本人の精神について学んでもらおう。

すると娘が難色を示し始めた。
「明治神宮、やばい。私、死ぬかもしれない」
はあ?「清らかな空気の中で邪気も祓われるでしょうよ」
「それがやばい。私、消滅する」
娘、100パーセント邪気か。どんだけ厨二病なんだ。

鳥居もくぐりたがらず、盛んに体調不良を訴えたが、それでもなんとか身を清めてお参り。森を抜けて街中に入ると「はあ、生き返るー」などと言っている。

渋谷から原宿を巡って参宮橋までって、それなりの距離があるので娘は疲れているようだ。それでもスクエニショップまでもう少し、と頑張った。

巨大なサボテンダーやトンベリがお出迎え。はぐれメタルだー! スライムナイトだー! とついはしゃぐ。

そして奥に入って念願の「セフィロス」と対面。「びくったーーー!」と娘。公式サイトの写真よりも、かなり生々しい。……ことに頭のほうから眺めて2人で驚愕。「こ、これは……」セフィロスの腰の辺りまで丸見え……

しかし、FFグッズって総じてお高いorz……ドラクエの方はまだお手ごろなのに。キングダムハーツのフィギュア950円をお土産に買って、可愛い袋に入れてもらって帰った。

新宿都心を歩きながら、このあたりは昔浄水場で、ママの子供の頃から超高層ビルが建ち始めたのよーなどと昔話。NSビルも昔は高く思えたのに、今はすっかり埋もれてしまっていた。

帰宅して息子に原宿やスクエニショップの話をした。息子は、ゴスロリファッションが安いというのを聞いて「行きてえええええ!」と騒いだ。自分じゃなく、友達に着せたいらしい。それと、スクエニショップの1/1ガブラスの兜が「欲しい~~~~~~~っ」と騒いでいた。……そんなものどうするんだというと
「は? 端午の節句には鎧兜を飾るだろうが。なんでガブラスの兜飾っちゃいけないんだよ!」……そうか、五月人形か……って、自称「負け犬」の兜飾って、息子の何を祈るんだ??

☆  ☆  ☆

「朝香宮(あさかのみや)」と入力しようとして、「あさかのみや(変換)」したら、「朝か飲み屋」と出た……。朝っぱらから、飲んでいませんから私!

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2008年2月24日 (日)

息子はワンフェス 母はプチ地球制服の日曜~

息子がワンフェスに行くという。

ワンフェス~ワンダーフェスティバルというのは、要は「フィギュア」や「プラモ」のお祭りだ。今やお茶の間にもすっかりおなじみの海洋堂がやっているガレキの祭典、現代日本の造形美術を楽しむものだ。

残念ながら、私はこれに一度も言ったことがない。子どもを生む前から行きたくて行きたくて、息子がそういうのが好きだと知ってから、10年以上も一緒に行こうねって言ってたのに。

子どもって、本当に平気で親から巣立っていく。これまで「行こうよ」「やだ」で何年もやってきたのに、「今年オレ行く」「わーい行こうね」「いや、友達と行くから」「……」だもの。これも子どもの成長と、嘆きつつも乾杯する親は、きっと私だけではない。ワンフェスレベルでは、私だけかもしれないけど。

今朝は、まだ暗い6時に電話が鳴った。慌てて電話をとると、その友人からだった。朝起きられない息子のために、新しい友人P君が電話してくれたのだ。「息子ー!P君から電話よーー」

普段何を話しかけても起きない息子ががばっと起きた。電話口で、ありがとーとか言ってる。はあ、ママは眠いわよ。息子、起き上がって電話をきり、なんだかうれしそうにしている。

「よかったぁ……P君、脳内友達じゃ、なかったんだぁ……」

何を心配してるんだか。まあ、脳内でなくリアル友達とワンフェス行けてよかったね。なんだか今年は暴風だし、電車の状況よく見て、あったかくして出かけなさいよ、ほら新しくあったか肌着買ってあげたし、一番あったかい上着も着てね、ほら、お昼ご飯代2000円、あったかいもの食べなさいよ……と、送り出して仮面ライダータイムまで寝なおした。

さて、可愛いアベニーパファーが天国に行ってしまってからの水槽をどうしよう。

いいかげん、なんとかしないと。主水槽もなんだか汚いし。

しかしだらだらと、「もやしもん7巻」や「蟲師9巻」を読みながらすごしてしまった。この2冊が同日発売ってなんだか素敵だ。菌と蟲、どちらも通常人の目に見えないものながら、世の理をつかさどっていそうなのだもの。

私は単純なので、もやしもんをしみじみ読んで「なんだかワインが飲みたくなったわ」と、安い紙パックワインを飲み始めた。ええ、蟲師1巻を読めばなんとなく日本酒が飲みたくなるレベル。

そして酔った勢いで「やっぱり、汽水魚飼いたい!」などと思い立ってしまったのだ。

アべニーのいた水槽をざっと洗い、機材を確認して急いで近くのペットショップに向かう。

汽水魚である八の字フグかミドリフグを飼う場合、水草は植えられない。凶暴なフグであることも含めて、同居魚は考えられない。砂と、人口水草やサンゴなどでそれなりにレイアウトするしかない。

それに、海水魚よりは適当で済むかもしれないけれど、やはり汽水を作り、濃度を調べる道具は必要だ。今の水槽の位置だと暗い。明るくしてくれる砂……というか、サンゴブロックで明るくしたい。それに人工水草で彩りと、フグの憩いの場を作らなくては。

海水のもとやらなんやらを買い求めつつ、生体もチェック。うわ~、アベニーパファー、前にここで買ったときは、こんなに小さかったか~~うは、ミドリフグ、本当に可愛い。エサくれ~~買っておくんなまし~~~と近寄ってくるのがあまりにも愛らしく、今すぐお持ち帰りしたいくらい。

しかし、準備を整えずに身受けするのは殺魚的行為。いくら前に淡水フグを飼っていた水槽とはいえ、どう考えても新しい、それも汽水フグをお迎えするには準備が足りない。後ろ髪を引かれながら帰宅した。

私は子どもの頃から生き物を飼うのが好き。飼われる身には、とっても迷惑だろうけど。

山の中や、川の中、それに海の中を切り取って手元において置けるのなら、どんなに素敵だろうって、ずっと夢見ていた。でも本当の生態系をまるごと手に入れるには、相当の覚悟と資産がいるもので、とても自分の手には治まらないのだとはさすがによくわかった。

それでも、人は手元に小さな自然を置いておきたい。それが盆栽だったり、ガーデニングだったり、ペットだったりするのだけど。

これって、ちょっとした「地球制服」だな、と思った。

作業中、テレビでは「ドラゴンボール」が放映されていて、何やら凶悪なサイヤ人が、ばりばり破壊行為をしていた。「こんな星ひとつに三日もかかるとはな!」などと言いながら、殺戮と破壊を楽しんでいるようだった。

愚かなことよ。

征服と言うのは、ただ破壊、殺戮し、焦土とするのではなく、理解し、手に入れ、利用するものだ。

私の水槽は小さな水槽だけど、そこにいくばくかのお魚を入れるのなら、水温や水質、習性などを知らなくてはいけない。「キレイだから」「気に入ったから」ではすまないことが、いくらもある。そんなことを知った上で創り上げた水槽は、私の心を癒してくれる。

初心者用の魚ばかりだけど、それでも心地よさそうに泳ぐ姿を見れば満足。私の掌中で活きる命なのだ。大切にしたい。これが、私の地球。

まあ、自分の子どもでさえ、反抗しまくりで、すぐにも出て行きそうだから。てか、出て行けるものなら、出て……。

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2007年12月31日 (月)

コスプレ見てきました~にっくにくにしてやるよ~

おせちをあらかた作り、少し変わった食材を、とアメ横に行くついでにコミケに寄ってみた。

今年は久々におもしろい本を発見。その名も「牛久大仏」。茨城県にある浄土真宗の巨大な仏像への愛を怒涛の勢いで描いていた。電車の中で読んで笑いをこらえてしまったが、一見普通の「牛久大仏の立派なパンフレットか小冊子」に見える本で肩を震わせてるのは、周囲の人からは異様だっただろう。こういうのがあるから、コミケはおもしろい。

コスプレ会場ウォッチングも今日は楽しかった。糸色先生がたくさんいるのであちこちでカランコロンと音がする。「へえ~~」と感心するような「愛」たっぷりの素晴らしい表現者たちがたくさんいて、写真をたくさん撮らせてもらった。ロックマンはやったことがないけれど、ロックマンの敵?キャラ軍団には燃え上がった。「撮らせてください~~」と声をかけたけれど、「エアーマン」が大人気で、なんとコスプレイヤーさんたちが取り囲み、記念写真状態になっている。待っても、待っても、記念写真の列が伸びるばかり。しかたなく場内1周して、ようやく撮らせてもらえた。何回やっても何回やってもエアーマンが写せない♪という状態だ。

着ぐるみ、張りぼて系って素敵。混雑するコミケではいろいろ規制も厳しいようだが、それでもがんばるコスプレイヤーさんたち。サンバルカンのメカらしきもの(ごめんなさい、わからない……)をかぶった方を発見。なんと正月飾りを身につけて、一見獅子舞のようだった。一枚撮らせてもらったら、大きく口を開けてくれた。本当に獅子舞で正月に回ってもいいかもしれない。これなら私もお祝儀を振舞う!

ほくほくしながら帰宅。子どもたちに「今日のコスプレは良かったよ~」と教えてやると、息子が「初音ニクいた?」と言う。
「ああ、初音ミクはたくさんいたようだけど、アタシはあんまり興味は無くて…」
「初音ニクいた?」

おいおいw たしかにコスプレのなかには「SDタイプ?」とか「パロディ?」とか言いたくなるようなこともあるけれど、ニク、か。
「いたかもしれないけれど、気づかなかったわ。それより、数日前にコミケでの初音ミクコスプレで、長ねぎの持込が禁止されたというニュースがあったけど」
……そんなことが、ネットとはいえニュースになる世の中。意外とこの年末、日本が平和な証拠か。
「今日、ねぎのコスプレがいたわ」

そう、いたのである。初音ミクと一緒に、ねぎのコスプレイヤーが。これには参った!と思わず写真を撮らせてもらった。これだからコミケは楽しい。

しかし息子は笑いながらも「そのくらい当然! 訓練されたオタクはそのくらいの発想をしなくちゃいけない」

訓練されたオタクって、なんだ。息子はさらに熱く語る。

「だから、初音ミクなんか普通にやるより、初音ニク、なんだよ。そのほうがかっこいい」

うん、たしかに通常の3倍太めの方が「初音ニクで~~す」とやってたら、それはそれでおしゃれだ。

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2007年7月16日 (月)

サクラ大戦レビューを見てきた~台風、地震の連休~

昨日、台風直撃か??といわれる中、「サクラ大戦レビュウショウ歌う♪大紐育♪2」を観劇した。

若手実力派揃いのキャストたちの中で、特に目を引いたのは園崎未恵さんだった。FF12のアーシェ役で、親がバレエの先生で、結構舞台のお仕事もできる人、という知識しかなかったのだが、歌唱力が半端ではない。小柄な感じに見えるのにすごくパワフルで、出番を心待ちにしてしまった……

帰宅してプロフィールなどを調べて「あ、To Heart」やってたんだ」とつぶやくと、息子が目の色を変えてすっ飛んできて、熱くそのゲームのことを語り始めた。

それって、あんたが小~~さい頃のエロゲじゃなかったか?

てか、今もエロゲを語ってよい年齢ではないはずなのだが……orz

さて、台風のさなかの初日公演だったが、広井王子氏はじめキャストも熱いが、お客さんも熱い熱い!暴風雨にも負けずコスプレイヤーや、サクラ大戦グッズで身を固めたファンが集う。キャラクターが出るとそれぞれに声援が飛び、アドリブもお客が率先して盛り上げる。客と出演者が一緒になってひとつの空間を創りだしているようだった。

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2007年2月20日 (火)

同級生女装計画~不登校息子の憂鬱~

「コスプレ衣装の作り方を教えて欲しいんだけど」

母親と言うものすべてが、料理や裁縫に長けているという幻想は、いい加減廃れたと思っていたのだが。自慢ではないが、私は子供の幼稚園バッグをひとつ作るのに、ミシン針を3本折った女である。それでもまあ、なんだかんだで子ども二人の通園・通学手提げや、上履き入れ、ランチョンマットなど、それなりに作り、そこそこできるようにもなったのだが、コスプレ衣装とは大変だ。そんなものが作れるくらいなら、君は「コスプレイヤーの息子」になっていただろう。

「コスプレするの?」と聞くと、「いや、俺じゃない。Qに、女装させたくて」Q君は、息子の不登校仲間だ。かわいらしい顔立ちで、坊主頭にしても女の子と間違われるほどだという。

「朝比奈みくるみたいなのでも着せる気か」と聞くと「そうだ」という。

私は冗談で言ったつもりだが。

しかし、Q君はたしか、息子よりも重症の不登校で、最近はほぼ引きこもっていると聞いた。そういう子に、みくるちゃんの衣装などを着せるというのはいかがなものか。場合によってはいじめである。もしも、それで元気になって登校するように…なんていうすごいストーリーが展開したとしても、それはそれで怖い。何かを目覚めさせてしまうかもしれないのだし。

とりあえず、中学で家庭科をやっておけば今は男子でもお裁縫のイロハを習うはずだし、基礎なら教えてやってもよいが、と言ったが、するとふにゃ~~~ん、と息子は興味を失った。私に作らせるつもりだったのか?

そういえば去年の今頃だったか、不登校組がアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のエンディングのダンスを練習していたはずだが、こちらはいつ披露されるのだろう。

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2007年1月11日 (木)

なりきりという表現~今一番ピュアなオタクたち~

コスプレは、衣装やメイクで人の前に現れ、好きなキャラクターになりきったり風刺的なメッセージを入れ込んだりして表現する方法であるが、私は数年前から「なりきり」に注目している。

「なりきり」とは、ネット上の掲示板を利用してアニメやゲームのキャラクターになりきり、独自の世界を創る遊びである。

匿名で楽しめるのが掲示板の面白いところ。参加者は年齢や容姿、性別に関係なく、知識や想像力で表現できるのが、コスプレや同人誌とは違う。もともと突発的に2ちゃんねるなどで「●●ですが質問ありますか?」などと有名人やキャラクターになりきった人が他人の質問に答えたり、会話を楽しんでいたのが隔離されて独自の板になり、そこから派生したサイトも続々登場。キャラクターになりきった人=キャラハンを「名無し」が囲み、あるいは関連する複数のキャラハンとのかけあいを不特定多数で楽しみながら、ひとつの世界を構築していくのである。

前述のように、顔も名前も出さない世界でただひとつ、「才覚」だけでキャラハンは挑む。たとえばアニメであれば、その作品の隅々まで知り、自分なりにしっかり解釈した上でなければ、誰にも相手にされない。口調や性格を真似するのは基本だが、完璧にマネできても「おもしろくない」と思われればそれまでだ。同人なら一人で完結できるが、なりきりはコミュニケーションが第一。時にはあえて崩してみたり、荒らしてるのかとしか思えないような書き込みにも当意即妙な反応をしてただひたすら、「名無し」を喜ばせる。これが、良いキャラハンなのである。

ルールは、スレッドをたてたキャラハンがある程度決められるが、全体的にキャラハンには「全レス返し」の十字架がのしかかる。たとえば「セク質(セクハラ質問)禁止」などとルールを決めても、どうしてもいやらしい質問や、エロ画像を貼り付けるやつがいるのである。また、こういうのは名無しが相手の度量を測っていることもある。イヤな質問もさらりとかわし、わけのわからない質問にも誠意をこめておもしろく回答。手抜きは許されないし、自分のわからない部分や答えたくないような質問にも答えなくてはならない。こんなどう転ぶかわからない世界を、上手にまとめるのがキャラハンなのである。

しかし、これはもう、ホストかホステスかというレベル以上のサービスだ。こういうサービス業は、周知のとおり結構な収入が得られる。また、これだけできる人がもしも同人誌で小説本でも出せば、それなりに良い成果が得られるだろう。全体的にはファン活動と言うことでほとんどは持ち出しの多い世界ではあるが、実力と才覚さえあれば、結構どころかまともに働くのが馬鹿らしいくらい儲けられたり、メジャーデビューへの道が開ける。
コスプレも完全な趣味ではあるが、ごく一部とは言え、「プロ」への道がある。駆け出しのアイドルがコスプレでファンを集めたり、コスプレ関連の雑誌などで祭り上げられでもすれば、自己顕示欲は満たされるだろうし、何かしらの収入にもなる。

が、「なりきり」キャラハンさんたちにはそんな見返りはまず、望めないだろうと思う。掲示板から書籍化されることも、ブログからスターが生まれることも多い昨今であるが、いかに芸術的な、あるいは職人的な世界を創り上げても、版権などの伴う世界。あまり色気を出してもろくなことにはならないだろう。
それでも、キャラハンさんたちは、どんなに気まぐれでも「名無し」さんにサービスし続ける。そのエネルギーは、相当なものだと思う。文章力、理解力…それはもう、半端ではやっていけない。毎日書き込まれる名無しの書き込みにひとつひとつ、おもしろい答えを出し、演じる。あるとき、キャラハンさんに話を聞く機会があった。なりきりをはじめて2年ほどというその人に「楽しいですか?」と聞くと「それはもう!」と答えた。ただし、素の自分をさらけ出すことは無く、あくまでもそのキャラクターを演じながら。学生でも社会人でも、皆それぞれの仕事をするなかで、どんなに大変でも、見返りなんか全然無くても、演じ、自分なりの解釈を披露し、会った事もなければ、お金をくれるわけでもない人たちにサービスしつづける…

これは究極の「ファン魂」か?

「セク質は厳禁よ!」という美少女キャラハン(実は30代オタク男)に「●●タンのひざげり…ハァハァ」と、あえてセクハラし「この変態!」と蹴りを食らって喜ぶ主婦。
一見男同士の愛の世界を演じながら内心「貴様、主婦だろう」「お前もな」と思うなりきりさんたち。例は、あくまでイメージで、実際のなりきりさんとは無関係です。気持ち悪いというなかれ。職人芸としかいいようのないレベルの高い芸を見せる人たちも、大勢いるのである。
「この才能、ほかに生かしたほうがいいんじゃないのか???」と思うこともしばしばだが、気軽に参加できて奥の深い、そしておそらく、オタクの世界がすべて商品化されてしまったこの時代に、唯一残る純粋なごっこ遊びに耽る人々に、私は讃辞を惜しまない。

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2007年1月10日 (水)

書を捨てよ、街でコスプレ~ズームインでコスプレ特集~

最近のズームイン!スーパーはなんなんだ。

今朝はいつもより早く出勤しなくてはならず、年末年始にたまった大量のごみを出さなくてはいけないこともあって、7時40分頃の特集タイムに不登校息子とごみを持って出ようとしたのに、いきなり「遊園地コスプレ」の特集を予告。やむなくテレビにかじりつくことになった。

いくつかの遊園地、テーマパークでは、10年位前からコスプレイヤーに大いに撮影やごっこ遊びに使ってもらおうと、日を決めて受け入れている。非日常的な空間で撮影できてコスプレイヤーにも好評。遊園地側も客の増加が見込めて万々歳だ。

しかし、今日の放送によると、入園者数の約半数がコスプレということもあるそうだ。これには驚いた。今、そんなことになっちゃってるとは。

画面に次々映し出されるコスプレイヤーたち。全部チェックできなかったのが残念だが、通常の撮影ポーズもさることながら、遊具にまたがったりするのはシュールな絵になっておもしろい。ローゼンメイデンの方々らしいのがメリーゴーラウンドの馬車でおすまししているのに、息子も失笑。ソラらしい人もちらっと映った。同人誌が一切できない「キングダムハーツ」も、コスプレは根強い人気があるようだ。ディズニーランドでもハロウィンの時期にディズニーキャラの仮装がOKになるが、キングダムハーツのキャラはいろいろ微妙らしい。まあ、13機関のコスプレはやめたほうが無難なのだろうが、コスプレイヤーさんはあそこで写真を取り捲りたいだろうなあ。空いたところで撮影するのは難しいけど。

そして特集は、かなりリアルなガンダムの皆さんに密着。彼らがそろうとたちまちヒーローショーのようなムードになり、小さなお友達がおずおずとよってきては「握手してください」と言う。「としまえんでガンダムと握手www」我が家は爆笑。一般の方の反応は「トイレで並んでたりすると、自分のほうが異質に思える」などとおっしゃる女性も。そんなに多いのかw男性は「秋葉原にきたみたいですね」と苦笑。いや、秋葉原にも滅多にいませんから!

ヘンといえばヘンな趣味で、毛嫌いする人も多いだろうが、楽しそうに自慢のコスチュームやメイクでパフォーマンスをするのを見るのは、私は結構好きだ。遊園地で一般の人たちの目に触れながら、いい方向で理解を得られれば良いと思う。

ところで今のキャラクターのコスチュームデザインが街を歩いてもそうおかしくなくなったせいか、私は街の中でコスプレイヤーを見つけることがある。
ご近所で見かけたのは、水辺の公園を歩くスコール・レオンハートと、通勤電車に揺られるエドワード・エルリックである。

まさかふつーのおばさんが、しっかり見破っているとは気づきもしないんだろうなあ…w

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2006年12月31日 (日)

コスプレに異変あり?

盆と暮れには海辺の市場に行って、本とコスプレを鑑賞するのを、何よりのリフレッシュとしている。

しかし、「このところコスプレが減っていないか?」という感じがしていた。

最初は同人誌を売るサークルのパフォーマンスという意味もあったり、同人誌サークルとコスプレとの境界などもなかったりで、ちょっと前まで会場にはものすごい数のコスプレイヤーがひしめいていた。今の有明ビッグサイトの会場になって、コスプレとサークルを分断する方向になったが、それでも同人誌とコスプレの境界は不明瞭で、コスプレ会場にはもちろん、サークルオンリーの東地区、東と西をつなぐ通路を歩いているだけでも、華やかなコスプレイヤーが、山のように見られたのである。

それが、がっくりと減った。前回は同行した娘がコスプレ会場で体調を崩してしまい、ゆっくりとそこで見られなかったのだが、それにしても「少ないなあ…」と思いながら、娘の具合がよくなるよう、休めるところを探し、有明をうろついていた。そこで見たのが「となりでコスプレ博」というイベントだ。

コミックマーケットが行われる、まさにほんのお隣、ガラス張りの会場で、コスプレイヤーがひしめいている。雑誌などでもみかけるような、超絶美形、衣装やメイク、髪型などは言うに及ばず、武器などの小物大物にも妥協の無い、テレビや漫画から飛び出したようなコズプレイヤーさんたちが、楽しそうに撮ったり撮られたりしている。うわああ、なんだこりゃあ。

と、帰って調べてみると、今までにもコスプレ専門のイベントは数多く行われてきたが、このイベントはその名のとおり、オタクのビッグイベントのまさに「となり」で行う、コスプレ専門イベントのようだ。

コミケがテレビなどに出れば、まず真っ先に出るのがコスプレ。普通の人には、もしかしたらコミケ=コスプレイベントというイメージなのではないかというくらい、コスプレは華やかにイベントを彩る。
が、実際にはコミックマーケットは「あくまでも同人誌イベント。コスプレは徒花、禁止してもいいくらい」という声もあり、また世界的にも類を見ない混雑問題を抱えるだけに、コスプレには規制だらけだ。
たとえば、ゲームなどのキャラクターが持つ、剣や刀などの武器は、間違いなく禁止。最近はそういう小道具に何十万もかけるコスプレイヤーがいるのだが、コミケ会場では、それらを持ってかっこよくポーズをとることができない。着ぐるみなどにも規制が厳しく、とがった形状のものなどは待ったがかかることが多い。
漫画やゲームのキャラクターデザインでも、コミケでコスプレする際、ひっかからないようにとデザイン変更があると聞くくらいだ。

おまけにコミケは夏は暑く、冬は寒い屋上でしか実質撮影ができない。会場の飲食店はコスプレイヤー出入り禁止(今は緩和された?)で、過酷な状況。せっかくの、世界一コスプレイヤーにカメラが向けられる舞台で、思う存分パフォーマンスしたくてもできない。いつか、こういうときがくるのではないかと思っていたのだが。

冷暖房完備、強い日差しに悩むことなく、思う存分好きなポーズをとり、仲の良いもの同士交流を楽しんだり、やっている作品のキャラクターを、何十人でも集めて楽しむことが可能な場所があれば。そういうコスプレイヤーが、明らかにそのイベントに流れている。

今日も、屋上広場が終了したあと、コスプレイヤーらしき人々(メイクでなんとなくわかる)が、ぞろぞろとそちらの会場に向かっていた。呼び込みもあった。この人たちは、コミケの独特な雰囲気を愛しながら、それでも思う存分コスプレを楽しみたいのだろう。「やだ~もう混んでる~」と、会場を目指していたが、大道具を持ち込みたい人、早く良い場所を確保したい人は、もうコミケにこだわらずに、先に会場入りしている可能性もある。

ライトなコスプレウォッチャーとしては複雑だ。キャラ大集合や、武器を持った最高の写真を望むのは無理にしても、これまでコミケにいけば、大体、「今のコスプレ」が鑑賞できたのだ。また、それこそがコミケという、世界でも類を見ないイベントだという認識もあった。だが、いよいよコスプレとコミケ分断か…?

これもまた仕方が無いかもしれない。どうあったって、ものすごい勢いで膨らむコミケと、違う方向も含めて進化するコスプレ、ずっと前から仲良く収まっていられる状態ではなかった。自分自身、「コミケの近くでいい会場があれば分離しちゃえばいいのに」とさえ、思っていた。今、オタクを囲む業者が数多くいるのだから、それが実現されるのは当然の事なのだ。

一方、すっかり空いたコミケのコスプレ会場だが、それで寂しくなったかというと、そうでもない。妙に「コミケっぽい」雰囲気が戻った感じがする。人気のキャラに扮する人もいるが、「誰がやるんだよw」というようなマイナーキャラ、懐かしキャラに扮する人もいる。ジャンルも多様で、芸能人、知識人、CMキャラ、何でもありだ。

Abe この人、昨年姉歯・小嶋の二役をやっていた人だろうか。今年は某国の総理である。¥105のブックオフ値札が泣ける。昨年よりずっとレベルアップした。

こういう表現、ちょっと他のコスプレイベントでは見られない。

コミケは年齢幅もかなり広く、下は乳幼児、上はお年寄りなので、一体どんなコスプレイヤーが出てくるか、正直予想もつかない。中年体型やはげた頭も、これがかえって味になる。むしろ、そういう役をこなせるコスプレイヤーに人が興奮する。

すっごくいけてる、むしろ被写体になりそうな美人コスプレイヤーが、「すごいっ!一枚撮らせてください~~~!」とはしゃいでいた。若いが、この遊び心がわかる人なのだろう。

そのほかにも、わかる人にしかわからないような素敵なコスプレが結構ゆったりとした会場で鑑賞できた。気のせいか、撮影者に、自分くらいの年の人が目立った。…もしかしたら、撮る人も、淘汰されたか?どう見ても60以上の女性がいらしたのも、これまであまりの人ごみに気づかなかったのかもしれない。

コミケは、やはりコミケだ。世の中がいろいろな方向で「萌え」やらなんやらとオタク世界を消費していても、商業の場には当てはまらない、「自由な表現の場」を提供し、新しいもの、あるいは古くても平気なものを大いに受け入れ、発信するのはここなのだと思う。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

紅白ではサブちゃんが熱唱中。今年はお世話になりました。来年も、この恥さらしな日記をよろしくお願い申し上げます。

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